祈られることの力強さ
昨日、かかりつけの大田クリニック院長より、大腸がんであることを告げられた。ショックというより残念というような気がした。
しかし家に帰って落ち着いてみると、次第に重苦しい気分に覆われてきた。はっきりと姿はつかめないが、先に横たわる何層かの不安、いつまで続くか分からない不安、先に待っているのが死であるかもしれぬ不安等々が、無意識のうちに沈ませる。寝ていても、恐ろしい夢や不安な夢で何度も目が覚める。世間知らずの康子を残して死んでしまったら・・・ と考えると、かわいそうで仕方がない。勇一や悦三のこれから先を見ずに別れるのも非常に辛い。
今まで暇な時には、英字新聞を読んだり、NOVAに行ったり、ピアノを弾いたり(習いに行って約半年目)していたが、何かをしようと思っても、続ける根気が湧いてこない。少しやると無力感を覚えるのでやめてしまう。
康子が教会の人に祈ってもらおうと言い出した。私も今のままでは耐えられないような、先々落ち込んでいくような希望のなさを感じ、同意した。
康子が松井姉、和智兄、そして近藤牧師にその旨連絡を取ってくれ、お祈りを依頼してくれた。丁度、近藤牧師にお祈りの依頼をしてくれた時、私の重圧は急速に軽くなった。明日の礼拝において口頭で私の病状を紹介してくれ、祈りを依頼してくれるのである。教会員のお祈りがあれば、私は強くなれることを、身をもって感じた。
先月、黒石兄が奥さんを失った時、祈られることの力強さを強調していたが、正直私はその時、それがどんなものかよく分からなかった。
いまだ始まったばかりで、どういう道を神様が準備しているか分からないが、楽天的に生きていけたらと思う。
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米田武義(よねだ・たけよし)
1941年4月16日、大阪生まれ。大阪府立三国丘高等学校、国立静岡大学卒業。静岡県立清水東高校定時制教師を勤めた後、東北大学大学院、京都大学大学院(国土防災技術(株)国内留学生)で学ぶ。国土防災技術(株)を退職し、(株)米田製作所を継承する。2008年4月8日、天に召される。著書に『死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―』(イーグレープ)。