ロシアがウクライナに軍事侵攻してから3年となった24日、在日ウクライナ正教会「聖ユダミッション」が主催する祈りの集会が、日本聖公会聖オルバン教会(東京都港区)で開かれた。
集会には約40人が集い、コンスタンティノープル総主教庁の日本総主教代理であるアンブロシオス府主教や、英国、ギリシャ、キプロス各国の駐日大使らが出席した。また、ロシアとの戦争で片脚を失い、現在日本でリハビリなどを行っているウクライナ人負傷兵の男性2人も義足姿で参加した。
集会では、聖ユダミッションのポール・コロルク長司祭らが司式を行い、祈りと賛美をささげるとともに、新約聖書のルカによる福音書17章から、イエス・キリストが重い皮膚病を患った10人を癒やした箇所を朗読。その後、アンブロシオス府主教がメッセージを伝えた。
戦争が始まってから3年が経過した今も先行きが見通せない中、集会は「感謝と平和の祈り」をテーマに行われた。コロルク長司祭は「感謝の思いで集まりたかった」と言い、集会に込めた思いを話した。
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コロルク長司祭は、戦争のような苦難に直面したとき、最も危険なことは自分自身の心を失ってしまうことだと指摘。自分たちが悪者と同じになってしまえば、相手の勝ちだとし、この日を悪者の手に渡すのではなく、感謝と平和を思い起こす日とするために集まったと話した。
また、特に戦争が始まってから、避難者として来日したウクライナ人の心の中には、日本に対する感謝の気持ちがあふれているとし、その思いを表す場としたかったとも話した。
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集会の最後には、ウクライナの国家的賛美歌「ウクライナへの祈り」を歌った。この曲は、ロシア帝国支配時代の厳しい文化的抑圧下に作られたもので、「ウクライナ」と訳されている箇所は、一文字ずらせば「国」に置き換えることができる。当時は「国のための祈り」という体裁を取りながら、人々は心の中で「ウクライナのための祈り」として歌っていたという。
この日はウクライナ語で歌ったが、コロルク長司祭は、参加者それぞれが心に思い浮かべる国のための祈りとして歌ってほしいと呼びかけた。