英国聖書協会の最新の世論調査によると、英国のイングランドとウェールズにおける教会の礼拝出席率が、この6年間で増加したことが明らかになった。中でも、「Z世代」(1990年半ば~2010年半ば生まれ)に該当する若者の間で顕著な増加が見られ、全体をけん引する形となっている。イングランドとウェールズの人口は、英国の全人口の約9割を占める。
調査は英国聖書協会からの委託を受け、英大手世論調査会社「ユーガブ」が、2014年11月4日から12月2日にかけ、1万3146人を対象にオンラインで実施。調査結果をまとめた報告書(英語)によると、少なくとも月に1回は教会の礼拝に行くと回答したイングランドとウェールズの成人(18歳以上)は12%で、18年の8%から増加した。
この変化を主導したのは18~24歳の男性で、少なくとも月に1回は教会に行くと回答した割合は21%に上り、18年の4%から大幅に増加した。また、同じ年代の女性も、18年は4%だったのが、24年は12%に増加した。
さらに、教会に通っていないと回答した18~24歳も、3分の1(34%)が友人から誘われれば教会に行くつもりだと答え、65歳以上(35%)に次いで多かった。聖書に対する関心も若い世代の方が高く、聖書に興味があると回答した人は全世代平均で26%だったのに対し、18~24歳は37%、25~34歳は32%だった。
報告書の共同執筆者で、英国聖書協会の影響調査ディレクターであるリアノン・マカリアー氏は、次のように述べた。
「これは、イングランドとウェールズの教会が衰退末期にあるという広く行き渡った想定を完全に覆す、驚くべき調査結果です。伝統的な教派の中には依然として課題を抱えているところもありますが、ほとんどの教派で、特にカトリックやペンテコステ派において、広範囲にわたる著しい成長が見られます。6年前と比較して、教会に出席する人の数は200万人以上増加しているのです」
また調査結果は、教会において少数民族が果たす役割が大きくなっていることも示した。定期的に教会に通う人の5分の1(19%)が少数民族であり、18~54歳ではその割合は3分の1(32%)にまで増える。
教会に通う人は、メンタルヘルス面や健康面でも、概してより良好であることが分かった。また、ボランティア活動や、慈善活動への寄付などを通じて地域社会に貢献している割合も、他の宗教や無宗教の人々よりも高いことが分かった。
同じく報告書の共同執筆者で、英国聖書協会の影響調査上級マネージャーであるロブ・バーワード・シモンズ氏は、次のように指摘した。
「多くの人がメンタルヘルスや孤独、人生の意義の喪失に苦しむ中、特に若者に対し、教会は答えを提供しているようです。教会に通う人は、教会に通わない人よりも、人生の満足度が高く、地域社会とのつながりを強く感じている傾向が強いことが分かりました。また、不安や落ち込みを頻繁に感じるという回答も少なく、特に若い女性でその傾向が強いようです」
英国聖書協会のポール・ウィリアムズ最高責任者(CEO)は、調査結果について次のように述べた。
「これは非常に重要な報告であり、調査結果は、イングランドとウェールズにおけるキリスト教と教会の礼拝出席に対する認識を変えるものです。教会は消滅への坂道を転がり落ちているどころか、生き生きとしており、成長しており、個人や社会にポジティブな変化をもたらしているのです」