救世軍は3月24日、運営する「救世軍ブース記念病院」(東京都杉並区)を医療法人社団城東桐和会(タムスグループ)に事業譲渡すると発表した。6月30日で閉院し、7月1日から「タムス杉並病院」として開院できるよう、現在東京都に申請を行っているという。
近年の医療制度改革や新型コロナウイルスの影響などにより経営状況が悪化し、デジタル化への対応や、竣工から20年以上がたつ現在の病院施設に対する設備投資の継続が困難だと判断したためとしている。
当面の間、現在の外来、地域包括ケア病棟、医療療養病棟、ホスピス緩和ケア病棟、訪問診療などは、事業譲渡後も引き継がれるとし、現在通院や入院している患者に対する医療提供には大きな変更はないとしている。
関連施設で隣接する「ブース記念老人保健施設グレイス」や、同じく関連施設で近接する「特別養護老人ホーム救世軍恵みの家」は、今後も救世軍が運営する。
救世軍のスティーブン・モーリス司令官とブース記念病院の齊藤博彦院長は連名による発表の中で、「この決定が皆様に与える影響の大きさを、私どもは深く認識しております。しかし、地域医療を守り、皆様への医療サービスを継続するために必要な道であると判断をいたしました。どうか皆様には、新しい運営体制への移行にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます」と述べている。
ブース記念病院は、当時流行していた結核療養のため「杉並療養所」として1916年に設立された。その後、社会情勢の変化に応じて病院の機能を変え、68年に救世軍創立者のウィリアム・ブース(1829~1912)を記念した現在の名称に改名。100年以上にわたって、地域医療に貢献してきた。
ブース記念病院の事業譲渡により、救世軍が運営する病院は「救世軍清瀬病院」(東京都清瀬市)のみとなる。
タムスグループ(岡本和久理事長)は、ホームページなどによると、事業譲渡先の医療法人社団城東桐和会を含む計8法人を抱える医療・福祉の事業グループ。病院、クリニック、訪問診療、訪問看護、高齢者介護施設、認可保育園、乳児院などの施設を有し、事業所数は82拠点、職員数はグループ全体で6100人を超える。