1. 敦煌で発見された唐代作の序聴迷師訶経<イエス・メシア経>の現代訳(続き)
イエス・メシアの死と復活
メシア(弥師訶)は自らの身を与え、死を受けられました。罪人(悪業の人)たちはメシアを別のところに移しました。すなわち罪人を鞭打ち殺す丘のゴルゴダ(訖句、シリア語でガーグルター)と呼ばれるところに向かわせ、木の上に縛りました。さらに両側にも道に逆らった人をつけ、右の人がメシアに「メシアよ、救ってください」と言いました。
木の上に縛られたのは5時で、6日の安息日の朝まで縛られました。太陽が西に傾くころ、四方が暗くなり、地は激震し、地は崩れ、墓を所有する墓の門が開き、死者が復活しました。
このようにして人(メシア)は現れました。聖書の預言や説教を信じない者でも、死から復活したメシアを大いに信じるようになり、すなわち言うならば・・・
(この後は欠落し発見されていません。)
<解説>
漢文記事はマタイの福音書27章33節からの、メシアが十字架につけられる様子、復活の一部で欠筆しています。
ゴルゴダを「訖句」と記しています。地震が起きて死者が復活したこと、当時の日時をどのように理解していたのでしょうか。
漢文訳をするにあたり、これまでの文から分かることは、マタイの福音書を使用していたこと、当時の宗教用語や社会で使われていた用語を駆使して作成したこと、さらに異文化間での宣教を前進するために漢訳した彼らの努力が伺えます。
※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年、イーグレープ)
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川口一彦(かわぐち・かずひこ)
1951年、三重県松阪市に生まれる。現在、愛知福音キリスト教会牧師。日本景教研究会代表、国際景教研究会(本部、韓国水原)日本代表。基督教教育学博士。愛知書写書道教育学院院長(21歳で師範取得、同年・中日書道展特選)として書も教えている。書道団体の東海聖句書道会会員、同・以文会監事。各地で景教セミナーや漢字で聖書を解き明かすセミナーを開催。
著書に「景教-東回りの古代キリスト教・景教とその波及-」改訂新装版(2014年)、「仏教からクリスチャンへ」「一から始める筆ペン練習帳」(共にイーグレープ発行)、「漢字と聖書と福音」「景教のたどった道」(韓国語版)ほかがある。最近は聖句書展や拓本展も開催。
【外部リンク】HP::景教(東周りのキリスト教)