宮城県気仙沼市にある気仙沼ホープセンターで9日の日曜朝、「大震災3周年追悼記念合同礼拝」が開催された。
3・11での死者・行方不明者は1442人に上り、甚大な被害を受けた気仙沼の市街地。この地に長く根ざし、3年前の津波で会堂を失った気仙沼第一聖書バプテスト教会(嶺岸浩牧師)と、被災後の支援ボランティア拠点として誕生し、今も憩いと祈りの場として人々を支え続ける気仙沼ホープセンター(デイビッド風間牧師)が、初めて合同で礼拝を行った。
この2つの教会は、市内の徒歩3分ほどの距離にあり、協力関係を保ってきた。いつも日曜日は午前中の気仙沼第一聖書バプテスト教会の礼拝に出席し、さらに午後2時から行われる気仙沼ホープセンターの礼拝に再び出席するという人もいる。
9日に開催された初の合同礼拝には60人近くが集い、握手と抱擁、賛美と祈りの時を持った。
この日はさらに、FCBC(Faith Community Baptist Church)のカレブ・チャン牧師も駆けつけて、ギターと歌で賛美リードし、メッセージを語った。カレブ牧師はクリスティーナ夫人とともに震災後にシンガポールから仙台に移住。毎週日曜に気仙沼を訪ねて奉仕を続けている。仮設住宅の集会所を回り、歌やゲーム、さらに証などを通して福音も語っているという。
合同礼拝には、3人のメッセンジャーが次々と講壇に立った。カレブ牧師は「決してあきらめないこと!」、風間牧師が「三つ撚(よ)りの糸」、嶺岸牧師は「何一つ忘れるな」の題で、集まった人々を力づける。
カレブ牧師は、チャーチル英首相の言葉とローマ8章35節を引用。「Never Never Never Give up!」と全員で声を合わせることを導き、「神様が私たちに圧倒的な勝利を与えている」「失望ではなく、神様のみ言葉を選び取るのです」と励ました。
風間牧師は、今日こうして集まれたことの感謝を呼びかけ、会場から拍手が湧き起こった。伝道者の書4章9節から「二人は一人よりもまさっている」「三つ撚りの糸は簡単には切れない」を示し、この日の2つのローカル・チャーチと1つの宣教団体の結束とを重ねた。
嶺岸牧師は、詩篇103篇2節「主のよくしてくださったことを何一つ忘れるな」を挙げ、忘れていい過去もあるが「忘れてならないものもある」「神様が作ってくださった私たちのそれぞれの素晴らしさを喜んで使おう」「誰かのために何かをする、これこそがキリストご自身が望んでいること」と呼びかけた。
礼拝の最後には聖歌397「遠き国や」が合唱された。関東大震災の時に作られた歌で、気仙沼第一聖書バプテスト教会が流失して、その跡地に流木の十字架を立て上げた時にも歌われた(関連記事:気仙沼に「慰めの十字架」立てられる)。
慰めもて汝(な)がために 慰めもて我がために
揺れ動く地に立ちて なお十字架は輝けり
(続く:東日本大震災3周年記念礼拝・講演〜姜尚中氏「ひたすらキリストの愛に進まなければ」)
■【3.11特集】震災3年目の祈り:
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※「震災3年目の祈り」と題して、シリーズで東北の今をお伝えしています。