神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮で11日、神道・仏教・キリスト教の超宗派で合同の「東日本大震災追悼・復興祈願祭」が行われた。鶴岡八幡宮、鎌倉市仏教会、鎌倉市キリスト教諸教会の三者が「鎌倉宗教者会議」の協力を得て開催したもので、神道20人、仏教70人、キリスト教20人の宗教者が一堂に会した。
3年前の大地震発生の時間、午後2時46分に全員で黙祷した。宮内の舞殿に設けられた祭壇から吉田茂穗・鶴岡八幡宮宮司が祓詞(はらえことば)を上げ、横田南嶺・臨済宗円覚寺派管長など僧侶たちが読経。山口道孝・カトリック雪ノ下教会神父をはじめとするキリスト教教職者が祈りを捧げる様子を、参拝者と観光客およそ3000人が見守った。
祈祷に立った鎌倉恩寵教会の荒井仁牧師は、詩編6章9節「主はわたしの泣く声を聞き、主はわたしの嘆きを聞き、主はわたしの祈りを受け入れてくださる」を引用。「被災生活のストレスから、体調を崩されて亡くなる人たちも大勢います。原子力発電所の事故によって故郷を追われ、安心して暮らせる街にたどりつくことなく人生を閉じられた方々に、神様の安らぎが与えられますように。天にある永遠の家で憩えるように」「私たちも被災者に声をかけ続けます。そして命が尽きる時まで被災者と共に歩めるように、勇気と力と知恵をお与えください」と祈った。
さらに、ペルー出身でカトリック藤沢教会の米山リディアさんが、「アメイジング・グレイス」を熱唱。神社の祭壇を前にキリスト教の賛美歌が歌われるという異例の機会となった。
「鎌倉宗教者会議」は、3・11を契機に誕生した。鎌倉は寺院が多いことで知られ、日本の仏教は信徒数の8割が鎌倉仏教を源流にしているという。また、鶴岡八幡宮はこの地の歴史的な神社であり、周辺にはキリスト教会も多い。鎌倉はこのように「宗教都市」とも呼ぶことのできる素地があった。
2011年3月11日の大地震、大津波、原子力発電所の事故という大変な国難に直面するなか、鎌倉の僧侶から宗派を超えて合同祈願を行い、祈りを捧げようという声が出た。1カ月後の4月11日に鶴岡八幡宮で「東日本大震災追善供養・復興祈願祭」が、キリスト教も加わった三者合同で執り行われ、以降、毎年3月11日に「追悼・復興祈願祭」を開催してきた。昨年6月には、三宗教をつなぐ組織「鎌倉宗教者会議」が正式に発足した。
「鎌倉宗教者会議」のマークに描かれている、榊(さかき)、蓮(はす)、白百合(しらゆり)は、それぞれ、神道、仏教、キリスト教を象徴している。(続く:わずか10分で消えた街、なお希望を灯して~陸前高田キリスト教会)
■【3.11特集】震災3年目の祈り:
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※「震災3年目の祈り」と題して、シリーズで東北の今をお伝えしています。