み使いダニエル
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(み使いダニエル)マサトのものがたり 星野ひかり
「こんなはずじゃなかった」。マサトはじりじりと唇を噛み、毛布を握りしめて眉間にしわを寄せました。こんなふうにベッドから立ち上がる気力さえも失って、はや3年がたっていました。
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(み使いダニエル)ミチコのものがたり 星野ひかり
「神様どうか、お助けください。私の罪のせいならば、私のことを罰してください」。ミチコは自室で手を組んで、覚えたてのお祈りをしておりました。
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(み使いダニエル)悪霊デミオン~さだめ~(下) 星野ひかり
女はキッチンでささやかな夕食を作っているところでした。病院から戻ってくると、女が大切に育てていたベランダのハーブも枯れていたため、新しく買った苗をキッチンの窓辺に並べておりました。
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(み使いダニエル)悪霊デミオン~さだめ~(上) 星野ひかり
世界の地の深みには、そこを埋め尽くすようにうごめいている悪霊たちの雄たけびが、「ほぉう…ほぉう」と響き続けておりました。その響きは、一つでも多くの魂を、悪霊たちの頭である悪魔の‘かまど’にささげることを望んで、今日もやむことがありません。
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(み使いダニエル)ケンジのものがたり 星野ひかり
山間にある小さな集落に、その古民家はありました。昔ながらのしっかりとした造りでしたが、それでも冬の近づいたこんな夜は、地面の底から寒さが伝わってくるのです。ケンジは妻にガウンを着せ、自分も襟元を引き締めて身震いしました。
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(み使いダニエル)サキのものがたり 星野ひかり
サキは14歳の中学生。平均よりもちょっと太っちょで、猫と絵が好きでした。サキは今夜も四畳半の四角い部屋でお気に入りのデスクに座り、画用紙にいろいろな色のペンで絵を描いておりました。
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(み使いダニエル)ヨウコのものがたり 星野ひかり
田舎町の薄暗い路地裏に、赤と黄色の電飾が輝いておりました。ネオン管は「今宵も貴方をお待ちしております」と行書体で輝いております。小さなレンガ造りのこのスナックは、もう50歳を過ぎたヨウコが一人で切り盛りしておりました。
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(み使いダニエル)ハナのものがたり 星野ひかり
簡単な夕食を済ませた後で、ハナはダイニングのテーブルに腰掛けたまま、花瓶に生けられた西洋キキョウを見つめていました。鮮やかな緑の葉の中で、白地に薄紫色の縁取りの花たちは、なんとも清楚で何も望まず、ただそっと咲いておりました。
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(み使いダニエル)ケンのものがたり 星野ひかり
ダニエルは、空の霧の中に身を横たえて、大雨の跳ねる町の路上を見つめていました。路上には暗闇よりももっと深い、闇があふれておりました。その闇は悪魔の懐のようであり、その闇の中に、傘もささずにフードをかぶって震えている青年が立っておりました。
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(み使いダニエル)ミキのものがたり 星野ひかり
スポーツジムのヨガスタジオは一面が鏡張りで、昔の倍はあるのではないかというほどに肥え太ったミキの体をあからさまに映し出しておりました。ミキはスパッツに大きめのTシャツ姿で、一生懸命ヨガのポーズを取っていました。
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(み使いダニエル)アキラのものがたり(下) 星野ひかり
リリリリリ・・・。今眠ったばかりだと思ったのに、もう目覚ましが鳴りました。昨日の勤務は遅番で、夜遅くまで働きました。腰が痛み、なかなか寝付けなかったというのに、今日は朝7時からの勤務です。腰をかばいながら、アキラはベッドから這い出しました。
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(み使いダニエル)アキラのものがたり(上) 星野ひかり
ブブブブブ・・・鈍く携帯電話の目覚ましが鳴りました。ここは大都会のそびえたつビルの中にある、ネットカフェの一室でした。黒い壁で仕切られた、一畳半にも満たないアキラの部屋です。
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(み使いダニエル)タエのものがたり 星野ひかり
たくさんお金がありました。幼いころから、ゆとりのある暮らしからは縁がなかったタエにとって、それはとってもうれしいことでありました。今日はデパートで高級な生地をいくつも見比べ、蔦の刺繍の生地でカーテンを注文してきました。
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(み使いダニエル)コータのものがたり 星野ひかり
「お前は向こうに行っていなさい」。そう言ってリビングから追い出されたのは、小学校5年生に上がったばかりのコータでした。コータはリビングのドアの前にしゃがみ込んで、両親がののしり合う声、父親が母親をぶつ耐えがたい音をじっと聞き続けておりました。
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(み使いダニエル)ユミのものがたり 星野ひかり
ユミは隣に寝ている夫を起こさないように、そっとベッドから抜け出しました。音を立てずに寝室を出てキッチンに入ると、換気扇の下に置いてあるタバコに火をつけ、深く息を吐きました。
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(み使いダニエル)タイジのものがたり 星野ひかり
タイジは底知れぬ闇の中に浮かんでいることに気が付きました。不思議です。闇の中だというのに、何も怖くありません。タイジは目を閉じていましたが、自分が闇の中にうずくまっていることに気付いていました。
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(み使いダニエル)リエのものがたり 星野ひかり
先ほどから長いこと、泣き声が聞こえていました。それは冷たい壁の向こうの、隣の部屋からのようでした。リエは壁に頭をもたれて、歌を歌いました。隣の部屋の泣き声の主に聞かせてあげる子守歌のように。
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(み使いダニエル)シュンのものがたり 星野ひかり
誰からも見向きもされないやつ。そんなふうに周りの人はシュンのことを思っていたことでしょう。シュンは素朴な風貌で、口数も少なく、人との交流も決して得意とはいえません。
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(み使いダニエル)リカのものがたり 星野ひかり
青空にゆっくりと夕日が沈み、虹色の光が地平線に広がりました。羊雲が光を映してピンク色に輝きながら、ゆっくり空を流れてゆきます。あまりに美しいこの空をいったいどのような方がおつくりになったのでしょうか。
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