2013年にホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(故ローマ教皇フランシスコ)が教皇に選出された際、ほとんど誰もその結果を予想していなかった。事実、選出が発表されてからわずか数分後、イタリア司教協議会は、同国出身の有力候補だったミラノ大司教(当時)のアンジェロ・スコラ枢機卿の就任を歓迎するプレスリリースを誤って発表した。このように、次期教皇を予測するのは困難で愚かなことかもしれないが、以下に「有力候補」とされる4人の枢機卿を紹介したい。
ルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(67)
アジア初の教皇となる可能性のある人物。フィリピン出身で、社会問題については教皇フランシスコと似た立場だと考えられている。母国で中絶に反対し続けてきたが、同性愛や離婚についてはより寛容な立場を取っているとされる。60代で、候補者の中では若い部類に入る。
ピーター・タークソン枢機卿(76)
ガーナ出身で、貧困、社会正義、気候変動などの問題に多くの時間を費やしてきた。教皇ベネディクト16世の下で、人権と社会正義の促進を目的とする「教皇庁正義と平和評議会」(現総合的人間開発省)の議長を務めた。結婚、同性愛、女性司祭などの問題では、カトリック教会の伝統的な見解を堅持しているが、一部のアフリカ諸国の同性愛者に関する法律は過度に懲罰的だとも指摘している。
エルドー・ペーテル枢機卿(72)
ハンガリー出身の保守派で、カトリック教会の教えと実践における伝統主義と明確さの回復を象徴する人物。教皇フランシスコの一部の言動は、同性愛についてのカトリック教会の立場に疑問を招いたが、エルドー枢機卿が選出されれば、このような問題に明確な回答を示すだろう。だが、その内容は必ずしも全ての人の好みに合うものではないかもしれない。他には、教皇フランシスコが移民受け入れ拡大を呼びかけた際、それを拒否したハンガリーのオルバン・ビクトル首相の立場を支持するような姿勢を示したこともある。
ピエトロ・パロリン枢機卿(70)
イタリア出身で、教皇フランシスコに任命され、13年からバチカン(ローマ教皇庁)の国務長官を務める。多くの点で教皇フランシスコの右腕を務めてきた人物。外交界で高い評価を受けており、バチカンのウクライナ・ロシア間の和平仲介の取り組みにも関与してきた。しかし、共産主義国家である中国との合意については、中国に過度に有利だと批判されたこともある。