肺炎などのために2月中旬から入院していたローマ教皇フランシスコ(88)が23日正午過ぎ、ローマのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院から退院した。2013年の就任後4回目の入院で、期間は最長の38日間に及んだ。退院したものの、担当医は少なくとも2カ月の休養が必要だとしている。
バチカン・ニュース(日本語版)によると、退院直前の同日正午には、病棟のバルコニーから入院以来初めて公の場に姿を見せ、集まった約3千人を前に感謝の言葉を述べた。その後、車でバチカン(ローマ教皇庁)に向かった。
当初は気管支炎のため入院したが、その後、両肺に肺炎を発症していることが分かった。一時は「重い容体」とされ、ぜんそくのような呼吸困難な状態となり、酸素吸入や輸血が必要となっていた。それでも、今月中旬には入院後初めて教皇の写真が公開され、回復に向かっていることが伝えられていた。
退院した23日にバチカン広報局を通じて発表した「お告げの祈り(アンジェラスの祈り)」の説教(英語)は、「忍耐」をテーマに語り、「この長い入院期間において、私は主の忍耐を経験する機会を得ました」と述べた。その上で、「神の確かな愛につなぎとめられた、この信頼に満ちた忍耐は、私たちの人生において、特に最も困難で痛ましい状況において、確かに必要なものなのです」と伝えた。
説教ではこの他、イスラエル軍によるガザ地区への空爆再開には悲しみを、アルメニアとアゼルバイジャンの和平条約合意には歓迎の意を示すなど、国際情勢にも言及し、戦争の終結と平和のために祈りを呼びかけた。