バチカン(ローマ教皇庁)広報局は16日夜、肺炎の治療を受けているローマ教皇フランシスコ(88)の写真を、2月14日の入院後初めて公開した。
写真は、教皇が入院しているローマのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院の10階にある礼拝堂で同日撮影したもの。十字架と聖書が置かれた祭壇を前に、車いすに座る教皇の姿が写っている。斜め後ろから撮影しているため、教皇の横顔しか見えず、表情ははっきりと分からないが、酸素吸入の補助器具などは装着されていないことが確認できる。
バチカン・ニュース(日本語版)によると、教皇はこの日朝、この礼拝堂で行われた主日のミサを共同司式した。呼吸理学療法や運動理学療法を含む治療を継続しており、これらは「よい効果」をもたらしているという。
バチカン広報局を通じてこの日に発表した「お告げの祈り(アンジェラスの祈り)」の説教(英語)では、今は「試練の時」に置かれているとし、「私と同じように、今、もろさや病気の中にある多くの兄弟姉妹たちと共にいます」と伝えた。
その一方で、「私たちの体は弱いですが、私たちが愛し、祈り、自らをささげ、信仰をもって互いのために存在し、希望の兆しを輝かせることを妨げるものは何もありません」と強調。医療関係者や、自身のために祈ってくれている子どもたちに感謝の思いを伝えた。
2013年に76歳で就任した教皇は、21年7月には結腸憩室炎の手術で、23年3月には呼吸器感染症で、同年6月には腹部のヘルニアの手術で入院しており、今回の入院は就任後4回目。入院期間は既に1カ月を超えており、最も長くなっている。
一時「重い容体」と伝えられた時期もあったが、現在は回復に向かっているとされる。それでも退院の見通しはまだ立っていない。
ロイター通信によると、教皇は若い頃に胸膜炎のため肺の一部を摘出しており、肺が感染症にかかりやすいという。