バチカン(ローマ教皇庁)広報局は24日朝、肺炎などで入院中の教皇フランシスコ(88)について、入院10日目となる夜を「順調」に過ごしたと発表した。23日夕には「重い容体は続いている」としていた。
バチカン放送局(日本語版)によると、バチカン広報局は24日朝、「夜は順調に過ごされた。教皇は眠ることができ、現在は休息されている」と発表した。
23日夕には、「教皇の重い容体は続いている。しかしながら、昨晩以降、新たな呼吸危機(クリーゼ)は見られなかった」と発表。また、血液検査により、軽度の腎不全が認められたものの、コントロール下にあるなどとしていた。
教皇は気管支炎のため、14日にローマのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院に入院。その後、両肺に肺炎を発症していると診断された。22日には容体が悪化し、ぜんそくのような呼吸困難な状態となり、酸素吸入や輸血が必要となっていた。
教皇は2013年に76歳で就任。21年7月には結腸憩室炎の手術で、23年3月には呼吸器感染症で、同年6月には腹部のヘルニアの手術で入院しており、今回で就任後4回目の入院となる。
一方、過去3回の入院時と比べ、容体は不安視されている。バチカンは24日、同日から毎日午後9時に、ローマ在住の枢機卿と、教皇庁、ローマ教区の関係者らがサンピエトロ広場に集まり、教皇の健康のために「ロザリオの祈り」を唱えると発表した。
教皇は毎週日曜日正午に教皇公邸の書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者らと共に「お告げの祈り(アンジェラスの祈り)」を唱え、説教を行っているが、入院のため2週連続で休んでいる。米CNN(日本語版)によると、約12年に及ぶ在位期間中、お告げの祈りを唱えなかったのは、これまでに2回しかない。
ただし、翌日にウクライナ戦争勃発から3年を迎える23日は、バチカン広報局を通じて、お告げの祈りのための文書(英語)を発表した。教皇はこの中で、この戦争は「全人類にとって痛ましく恥ずべき出来事」だとし、ウクライナの人々に対する連帯の思いを改めて表明。また、武力紛争の全ての犠牲者を覚えるよう招き、パレスチナ、イスラエル、中東全域、ミャンマー、キブ地域(コンゴ民主共和国東部)、スーダンの平和のために祈るよう呼びかけた。