ご利益宗教、ご利益信仰でもかまわないではないか。
人の人生にはさまざまなものが必要です。飲食物から衣類、住居そして健康の維持、病気回復さらには家内円満、商売繁盛・金運招来、最近では交通安全とか受験合格など・・・このようなものを願い、約束するものを、ご利益宗教とかご利益信仰といいます。身近な神社・仏閣は(本来の宗教的真理はそこのけにして)その祈願に応えること〔欲望充足〕を第一義にしているようです。
こうした宗教はそれに応えることがその人を本当の幸福に導くものか否かに関係なく、ただ、参詣人の増加、それに伴う賽銭収入の増加を図ろうとするもの以外の何物でもありません。
このような渡世上必要なものを人が願うのは当然ですが、それがその人生で最重要なものかどうかはもちろん分かりません。それぞれの行動の反省とか生き方の再検討だとか、もっと大事なことがあるときもあります。本当の幸福には別の道があることもあります。そんなことに関係なく、ただそれを満たすことをほのめかすばかりでは、無責任と言わざるを得ません。
また、そのような渡世上の願いにばかり目を向けさせていると、本当に大事なこと(人生をよく見つめ、考えさせるという)本来の宗教の妨げにすらなります。
聖書の中で、イエス・キリストは、こう言っておられます。「あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、それらのものはすべて与えられます」(マタイ福音書6:32、33)
■ なにゆえキリストの道なのか: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)
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正木弥(まさき・や)
1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。
【正木弥著書】
『なにゆえキリストの道なのか 〜ぶしつけな240の質問に答える〜 増補版』
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産』(イーグレープ)