宗教は科学と矛盾する、迷信ではないのか。
大部分の宗教は、科学についてあまり語りません。だから、矛盾だ何だの問題は起こりません。
しかしキリスト教は、単に人間の心の問題だけでなく、人間を取り巻くすべての世界とその事象を取り扱い、(要点だけではありますが)説明します。聖書では、天地、宇宙万物(月、星、大地、海、山、川、地震、雨、雷、雲、霜、氷、風、樹木、花、作物、雑草、虫、蛇、魚、鳥、獣、家畜など)、実に多くの自然について記述しており、その起源についてさえふれています。これらの記述は、科学者に向けて書かれたわけではなく、どの時代の人にも、どの階層の人にも理解できるように、素朴な表現で、多くは詩として書かれています。これらの記述の解釈を誤ると、一見矛盾しているように見えることがあるかもしれません。
中世カトリック教会はその解釈を誤り、アリストテレス哲学とこれに基づくプトレマイオス天文学に引っ張られて天動説に固執してしまったのでした。一大痛恨事でした。しかし、天地と動植物についての創造論については、聖書と科学とを調和させて読むことができます(後で詳しく説明しますのでお読みください)。
神様は、宇宙万物を創造し、原則として科学上の法則をもって維持・統御しておられます。しかし、法則を造った神様がその法則に介入して、ある特定の事例だけ・一時的に・例外を行うことも絶対にないとは言えません。その例外が奇跡です。
以上のように、聖書の解釈を適切に行えば、キリスト教は科学と衝突せず、調和していけます。まして、迷信では決してありません。
迷信とは、何の根拠もなしに不条理なことを信じるものですが、キリスト教・聖書には(以後論述するように)たくさんの強い根拠があるのです。
■ なにゆえキリストの道なのか: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)
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正木弥(まさき・や)
1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。
【正木弥著書】
『なにゆえキリストの道なのか 〜ぶしつけな240の質問に答える〜 増補版』
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産』(イーグレープ)