宗教は弱い人が頼るものではないのか
宗教といってもさまざまですが、中には、悟りによる心の平安を求める人も、現世御利益を願う人も、落ち着ける共同体を探している人も、あるいは、精神修養により自分を強くしたい人もいます。そういう意味では、よりどころを求める人がする宗教もあります。しかし、考えてみれば、人間みんな何らかのよりどころを求め、ある意味で弱い人です。その弱さを意識するかしないかの違いでしかない、と言えるでしょう。
ところがキリスト教は、強い人弱い人に関係なく、すべての人にすっきりした世界観を示し、価値観を与えます。その中でどう生きれば存在意味を達成できるかを教えるものです。すなわち、キリストを信じて、神の子とされ、永遠のいのちにあずかるという目的とそのための生き方を示してくれるのです。これを信じれば真の幸福を得られますという意味で、“福音”と言うのですが、福音をしっかり信じれば、希望が出てきます。従って、むなしくなりません。失敗しても不運に遭っても苦難に遭遇しても、倒れてしまわない強靭(きょうじん)さが与えられるのです。生まれつきのままではできないことも、キリストの愛に迫られて“する”ように変えられます。いやな人にも愛で接しようと努力できるようになります。
近年は強い人でも、いわゆる状況の困難とか生きがいの喪失とかで自殺する人が増え、毎年3万人を超える年が続いています。しかし、キリストを信じる人は原則として自殺しません。それは、強くせられているからとも言えます。弱いから信じるのではなく、弱い人も強い人もキリストを信じればさらに強められます。
最後に、キリストによって特に強くなった人のほんの一例を第5回で掲げておりますから、再度見てください。
■ なにゆえキリストの道なのか: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)
(11)(12)(13)
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正木弥(まさき・や)
1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。
【正木弥著書】
『なにゆえキリストの道なのか 〜ぶしつけな240の質問に答える〜 増補版』
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産』(イーグレープ)