日本人なら日本の宗教を信じるべきではないか。
おっしゃる「日本の宗教」とは一体どのような宗教を指しているのでしょうか。仏教のことでしょうか、神道のことでしょうか。
仏教はインドで生まれ、中国、朝鮮を経由して日本に“渡来”したものです。鎌倉時代以後、かなり日本化しましたが、それでも基本はインドの釈迦にあり、北西インドの“龍樹”らによる大乗仏教にあるわけです。つまり、日本の宗教ではなく、“渡来宗教”です。このように、渡来のものであろうと固有のものであろうと、良いものであれば取り入れるのが当然の対応であって、昔の日本人はそうしてきたのです。ならば、キリスト教についても、外国から来たからいけない、とは言わずに、内容が良いものであるかどうかで判断すべきではないでしょうか。
“神道”について言えば、神道は日本固有の宗教ですが、きちんとした教理もなく、経典もないので、どんな宗教かよくは分からないのです。そんな宗教に、自分の大切な魂を託することができないのは当然ではないでしょうか。
そういうわけで、内容に関係なく「日本人なら日本の宗教でなければならない」というのは偏狭な態度と言わねばなりません。
宗教には、民族宗教と普遍宗教があります。民族宗教とはその民族に属している人にだけ意味があり、他民族の人には意味がないので、信じる気にならないものです。神道はこれです。しかし、普遍宗教は世界中のどの民族の人でも信じて益を受けることのできる宗教です。
世界に、普遍宗教は指で数えることができるくらいしかありません。キリスト教はその一つで、代表的な普遍宗教です。ですから、日本人であっても誰であっても信じられる宗教です。どうぞ、偏見なく見てください。安心して接して、試してください。
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正木弥(まさき・や)
1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。
【正木弥著書】
『なにゆえキリストの道なのか 〜ぶしつけな240の質問に答える〜 増補版』
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産』(イーグレープ)