学校法人青山学院(東京都渋谷区)は29日、堀田宣彌(のぶみつ)理事長や山本与志春院長らが、子どもの同学院初等部(小学校)への入学を希望していた夫妻から接待を受け、推薦状を受領していたなどとされる問題について、内部調査を実施し報告書をホームページで発表した。この問題は、週刊文春が「口利き疑惑」として報じていたが、報告書は、堀田、山本両氏らが夫妻から接待を受けた事実はなく、推薦状の受領も「相当な目的に基づくもの」として、問題はないとする見解を示した。
報告書によると、夫妻は堀田氏に対して、2017年7月~18年7月に計4回酒席を設営し、18年1月に大相撲の升席を進呈したと主張。山本氏に対しては、18年5月に1回酒席を設営し、同年1月、5月の計2回にわたり大相撲の升席を進呈したと主張していた。しかし調査の結果、これらの酒席は会費制であったり、夫妻ではない別の人物が飲食代を支払っていたりしており、大相撲の升席も夫妻以外の人物から進呈されていたとし、両氏とも「夫妻から接待を受けた事実はない」と結論付けた。
推薦状については、同学院初等部では受け取らない方針だが、過去に初等部に持ち込まれた事例があったため、院長らが預かり、初等部には渡さないという対応を取っていたという。こうした対応については「混乱することを防止するという相当な目的に基づくもの」であり、堀田、山本両氏が夫妻から推薦状を受領したことは問題なく、両氏は実際に推薦状を初等部には渡していなかったという。
寄付金については、夫妻が計300万円を寄付した事実を認定した。しかし、夫妻は受験前に寄付金や入学予約金を受け取らないという同学院の方針を無視し、自らの判断で寄付していたと指摘。さらに堀田、山本両氏が寄付を要請した事実も認められないとした。その上で、返還の求めには応じるが、寄付の返礼として贈呈した記念腕時計50個などの返還、あるいはその価格の精算を前提の条件として求めた。
調査は、同学院の常務理事や監事を務める弁護士ら3人で構成された内部調査委員会が実施。夫妻を含む11人から事情聴取したほか、証拠資料を確認するなどして調査を行った。