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こころの手帳

こころの手帳(7)社会不安障害 浜原昭仁

2015年4月23日07時51分 コラムニスト : 浜原昭仁
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関連タグ:浜原昭仁

社会不安障害(社交不安障害、SAD)とは、人の注目を浴びている時に大きな失敗をして、恥をかいてしまうのではないかということを強く恐れる病気です。他人から変な人間と思われるかもしれない、他人からバカにされたり笑われたりするかもしれないという不安と恥ずかしさが心を襲います。同時に心臓のドキドキ、息苦しさ、顔が赤くなる熱くなる、声が震える、汗をかく、お腹が痛くなる、吐き気がする、尿が近くなる、手や体が震えるなど、身体に様々な異常が表れます。

症状が出やすい状況は「気の張る人との会話」「人前でのスピーチ」「会社で電話をとる」「人前で文字を書く」「人前でご飯を食べる」などです。やがてこのような場面に遭遇することを避けるようになり、人前に出なくなります。これを回避行動と言います。ある患者さんは回避行動から10年以上も普通の仕事を控えて、新聞配達の仕事を続け、人前に出ることを避けています。これは単なる性格の問題ではなく、治療可能な心の病気です。

頻度はアメリカのデータによると3~13%で、うつ病、物質乱用に次ぐ3番目に多い精神疾患です。またこのような症状のある人はうつ病にもなりやすく、SADの40~70%の人がうつ病を合併します。

きっかけは思春期ごろに学校の授業中に当てられて発表させられ、異常に緊張したなどの出来事で、その後も症状は長く持続するため、進学や就職で嫌な場面が増えると、そのストレスから「うつ病」や「パニック障害」などのさらなる精神疾患の引き金となることもあります。日本国内に推定で約300万人以上の患者さんがいると言われています。

社会不安障害の治療は、薬を用いて治療する「薬物療法(SSRI:脳の中でセロトニンだけを増やす薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬)」と、心の態度や考え方を変えていく「認知行動療法」があります。2つの治療法はできるだけ併用して行うことにより、かなりの人が改善します。

フランクルによって編み出された逆説療法も場合によっては効果があります。たとえば、人前で汗を異常にかいてしまい恥ずかしくて発表ができないという人に対して、汗を少なくしようと考えるのではなくて、逆に「思い切ってペットボトル1本分くらい汗をかいてみんなを驚かせてやろう」と考えるのです。

社会不安障害の原因は、今のところはっきり分かっていませんが、脳の神経と神経をつなぐ神経伝達物質であるセロトニンが低下していることが原因の一つではないかと考えられています。また、脳内の情動反応の中枢である「扁桃体」という部分が興奮しやすくなっていて、普通の人よりも恐れや不安が起こりやすい状態になっています。

聖書は「人を恐れるとわなにかかる。しかし主に信頼する者は守られる」(箴言29章25節)とアドバイスしています。誰もが「人から拒絶されるのではないかという恐れ」を持っています。人は一人では生きていけないからです。他人がいつ自分の敵に回るだろうかと怖がっているのです。また、自分の評価が悪くなることも恐れています。自分自身にそれほど自信がないからです。

そんな時、「あなたは、わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」(ルカによる福音書3:22)という神様の語り掛けを忘れないなら、「私は神の子である。人がどう思っても、私のアイデンテティは変わらない」という自信を持って生きることができます。人の評価を気にしすぎてはいけません。私たちの魂の命を握っておられる全能の神を恐れ、信頼していくならば、あらゆる恐れから解放されることでしょう。

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浜原昭仁

浜原昭仁(はまはら・しょうに)

金沢こころクリニック院長。金沢こころチャペル副牧師。1982年、金沢大学医学部卒。1986年、金沢大学大学院医学研究科修了、医学博士修得。1987年、精神保健指定医修得。1986年、石川県立高松病院勤務。1999年、石川県立高松病院診療部長。2005年、石川県立高松病院副院長。2006年10月、金沢こころクリニック開設。著書に『こころの手帳―すこやかに、やすらかにー』(イーグレープ)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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