2014年、クリスチャントゥデイでは国内外のキリスト教に関わるニュースを、教派の隔たりなく、さまざまな分野で伝えてきました。この1年間で配信した記事の数は、寄稿コラムや提供記事なども含め、2千を超えます。それらの中から、2014年を代表する10大ニュースをクリスチャントゥデイ編集部で選びました。関連する記事と合わせてご覧ください。
【3月】東日本大震災(3・11)から3年 原発事故の「罪」も指摘
今年の3月11日は、2011年に発生した東日本大震災から3年目となりました。震災直後から、キリスト教会もさまざまな教団、教会、団体が支援を行ってきました。復興の声も聞こえてきており、3年を区切りに支援を終了するところもありましたが、引き続き祈りと支援が続いています。3周年を記念する礼拝や講演会、シンポジウムも多数行われました。一方、日本基督教団は、被災地の一つ仙台市で、12カ国から参加者が集う東日本大震災国際会議を開催しました。会議で発表された宣言文では、福島の原発事故の根源に「意識的に、無意識的に、個人的に、また集団的に、神に対して犯している罪」があるなどと告白しました。さらに、世界教会協議会(WCC)は7月、福島の原発事故にも関連させ、「核のない世界に向けた声明」を発表しました。
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【3月】NHK朝ドラ「花子とアン」で注目 村岡花子の信仰と生涯
『赤毛のアン』の翻訳者であり、キリスト者の村岡花子(1893~1968)の半生を原案とした、NHKの連続テレビ小説「花子とアン」が、3月31日から9月27日まで放送されました。ドラマをきっかけに、村岡花子の信仰と生涯に大きく注目が集まり、ゆかりの深い東洋英和女学院や日本キリスト教婦人矯風会、教文館、さらに山梨県や東京都大田区など各地で展示会や講演会、さまざまなイベントが行われました。
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【5月】北海道・希望フェス、2万人超で道内史上最多 来年は武道館
北海道の約150教会と米国のビリー・グラハム伝道協会(BGEA)が協力し、札幌市で5月に3日間にわたる伝道集会「北海道・希望のフェスティバル」が開催されました。3日間の参加者数は延べ2万2000人で、1500人を超える決心者を出しました。北海道内で行われた伝道集会としては史上最多の動員数となりました。主講師のフランクリン・グラハム氏による伝道集会は沖縄、大阪、仙台に続いて4回目。来年11月には東京の日本武道館で、「セレブレーションオブラブ with フランクリン・グラハム」が開催されます。
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【6月】西アフリカでエボラ熱被害拡大 闘う医師や宣教団体スタッフ
今年6月ごろから、西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大し、世界保健機関(WHO)の発表によると、12月末までに死者数は7800人、疑いを含む感染者数は2万人を超えました。感染の拡大は以前より鈍化傾向がある一方、依然として続いています。現地で医療活動をしていた米国のキリスト教団体の医師やスタッフも感染しましたが、試験薬を投与するなどし回復に至りました。米タイムス誌は、「今年の人」にエボラ熱と命懸けで闘い続ける医療関係者を選びました。
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【7月】憲法9条、「9条にノーベル平和賞を」運動や集団的自衛権容認で関心高まる
戦後70年を来年に控えた2014年は、憲法9条をめぐるさまざまな動きがありました。神奈川県在住のクリスチャンの主婦が始めた「憲法9条にノーベル平和賞を」運動は国内や海外でも注目を集め、今年の受賞には至りませんでしたが、ノーベル平和賞候補にノミネートされ、引き続き受賞に向けた署名活動が行われています。一方、日本政府は7月、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定しました。これに対しては、国内のさまざまな教団・団体が抗議声明を発表したほか、世界教会協議会(WCC)も、憲法9条の再解釈に対して「重大な懸念」を表明する声明を発表しました。また、12月には9条世界宗教者会議が東京で開かれ、世界15カ国45団体から参加者が集まり、初来日したWCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事も講演しました。
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【8月】朝日慰安婦報道問題 北星学園大、元朝日記者講師の雇用を継続
朝日新聞が8月、戦時中の慰安婦強制連行に関する同紙の過去の記事を一部取り消したことで、「慰安婦問題」に大きな関心が集まりました。朝日新聞は、その後の吉田調書をめぐる誤報も続き、社長が辞任、同紙へ対するバッシングが激化しました。一方、同紙の慰安婦報道に関わった元記者を非常勤講師として採用していた札幌市の北星学園大学には、「大学を爆破する」などと脅迫する電話やメール、ファックス、手紙が送られ、新潟県の60代の男が逮捕されました。キリスト教主義を掲げる同大は、学内でのさまざまな議論を経た上で12月、元朝日記者の講師と契約を更新することを発表しました。
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【8月】広島土砂災害、地元教会やキリスト教団体が協力して支援活動
8月20日に広島市北部を豪雨が襲い、死者74人、負傷者44人を出す土砂災害が発生しました。広島地域の教会は「キリスト教会・広島土砂災害支援室」を設置し、災害発生数日後から、教派を超えての支援活動を行いました。個人宅の泥出し作業など、約1カ月にわたる活動をボランティアで行い、地元住民からは「ここに教会がなかったら、この地域はどうなっていたじゃろうか」という声もありました。一方、カトリック広島司教区の信徒1人がこの災害で亡くなりました。
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【11月】WEA代表、教皇と会談 リック・ウォレン牧師らバチカンで講演 接近する福音派とカトリック
福音派の世界組織である世界福音同盟(WEA)の代表団が、11月にローマ教皇フランシスコと会見し、共通の関心分野に関する協働の可能性について話し合いました。また、米福音派の代表的な牧師であるリック・ウォレン牧師と、米プロテスタント最大教派の南部バプテスト連盟のラッセル・ムーア牧師も11月、バチカンで開かれた会議で講演しました。一方、教皇フランシスコは8月、イタリアにあるペンテコステ派教会を初訪問し、過去にカトリック教会がペンテコステ派を迫害したことについて謝罪し、WEAのジェフ・タニクリフ総裁兼総主事は、過去にカトリック教会を差別してきたと謝罪しました。福音派とカトリックは、中絶や同性愛、結婚・家庭に関する問題などで共通の立場にあり、協力へ向けた話し合いや動きがみられつつあります。
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【11月】カトリック・聖公会・ルーテルの3教会が初の合同礼拝
日本のカトリック教会、日本聖公会、日本福音ルーテル教会の3教会による初の合同礼拝が、11月30日に東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂で行われ、各教派から約600人の聖職者や信徒らが参加しました。第二バチカン公会議(1962〜65年)で発布された「エキュメニズム教令」の50周年を記念して行われました。礼拝前には3教会の代表者らによるシンポジウムも行われ、マルティン・ルターによる宗教改革から500周年となる2017年には、再び合同礼拝を行うことが計画されています。
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【12月】キリスト教映画、日本で相次いで公開 来年以降も
『ノア 約束の舟』(6月)に始まり、12月には『神は死んだのか』『天国は、ほんとうにある』が同時公開されるなど、世界的に人気を集めたキリスト教映画が日本でも相次いで公開されました。邦画では、『ふうけもん』が9月から全国各地の会場で順次公開されており、クリスチャンで奇跡のテノールと称される韓国人歌手ベー・チェチョルさんの生涯をモチーフにした日韓合作の『ザ・テノール』も、10月に公開されました。来年も、1月10日には『サン・オブ・ゴッド』、1月30日には『エクソダス:神と王』が公開されます。『神は死んだのか』と『サン・オブ・ゴッド』の原作ドラマ「ザ・バイブル」については、続編の撮影についても伝えられています。
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