神学者で、米国のキリスト教組織「社会活動のための福音主義者(Evangelicals for Social Action)」の会長であるロナルド・サイダー氏は最近、ニューヨークで開かれたミカ・サミットで講演し、社会を改革していくために、カトリックとプロテスタントの福音派が協力していくことへの効果について論じた。
改革派としてよく知られるサイダー氏は8日午後、このイベントのセッションの一つ「公共の場をかたちづくる」で講演。社会的、政治的な問題におけるカトリックと福音派の類似点を強調するとともに、過去の両者の関係においての否定的な側面を述べた。
「ほとんど今まで、(カトリックと福音派との関係は)ひどいものでした」。サイダー氏は同サミットの参加者に向かってこう語った。「50年前であれば、私たちはお互いを恐ろしい名で呼び合っていました。そこから考えると、私たちは巨大な進歩を遂げ、特に米国内において、妊娠中絶や結婚に関わる諸問題への共通項を見つけ出しました。私たちはこれからも対話を継続していき、社会的、政治的な事項で大きく共通点のある分野を介することで互いが歩み寄り、分かり合っていくことが重要だと思います」
サイダー氏はまた、カトリックと福音派の両者の神学的共通点と、なぜ世界の問題を解決するために、両者が協力していくことが強みになるのかという点に触れた。
「カトリックと福音派の両方が、神は父であり子であり聖霊であること、そしてナザレから出た大工(の家で育ったイエス)は、真実の神であり、実在した男性であるということも信じています。彼の命、死、復活は、全ての人々のための救いへの道であること。3日目に死からよみがえったこと。聖書は、神のユニークで特別な啓示であり、完全に信頼できるものであること。カトリックは、聖書の他に伝統について示す補足の別本があり、重要とされていますが、私が先ほど述べたことが、(両者の)共通の基盤です。そして、その基盤には、キリストがまた再び地上に来られるということも含まれます」
「このように、(両者は)実に多くの共通の基盤を持っています」とサイダー氏。「そして、両者の神学的に異なる考えをお話ししつつ、私は共通点の方にもっと焦点を置きたいと思っています」と続けた。
サイダー氏は、福音派が政治に携わっていくときの主要な問題の一つとして、政治に関わることへの考察の足りなさを挙げた。これは、カトリック教会が優れているとされる領域である。
「キリスト教徒はどのように政治と関わるのか。信仰的かという点において、聖書的かという点でどのように政治を行うか」とサイダー氏。「カトリック信徒は、優に100年以上の間、信仰を政治にも反映させるということに対し取り組んできました。洗練された、経験的な一連の回勅は、社会的な関与という点において、カトリックの枠組みを発達させていく上で非常に重要な機能を果たしました」
一方、世界福音同盟(WEA)の総裁兼総主事であるジェフ・タニクリフ氏は9日、別のセッション「喜びと悲しみ」の中で講演を行った。このセッションは、ミカ・チャレンジが、その前進を手助けしてきた国連のミレニアム開発目標(MDGs)のいくつかの点を振り返るもので、タニクリフ氏はまず、ローマ教皇フランシスコと11月に会談し、どのように貧しい人々を助けることができるのかを話し合ったことについて短く語った。
タニクリフ氏は、世界中の人々を助けるため、カトリックと連携していくことの重要性を強調する。
「皆が一致団結するということは、非常に大きな課題です。しかし、それぞれが持つ背景や伝統があるにしても、全てのキリスト教徒は、貧しい人たちをケアしていくことに関しては、聖書の中でイエス様が語られたことを読み、同意しているでしょう。それゆえ、最もパワフルなことには、私たちが一つの問題に焦点を当てるとき、その問題を介して私たちは一つになれるという事実があることです。さまざまな問題や事項を通し、それをきっかけに私たちが共に手を取り合うならば、非常に大きな力を発揮することができると私は信じています」
また、タニクリフ氏は、福音派や正統派のプロテスタントからカトリックに至るさまざまな教派のキリスト教徒たちが協力し、貧困者を助けるために立ち上がっていくようになることに、世界各国の政府が注意を向けるようになると感じているという。
ミカ・サミットは、ミカ・チャレンジ、WEA、ミカ・ネットワークの主催による2日間のイベントで、2000年に採択された国連のミレニアム宣言について話し合われた。このイベントは、世界中のリーダーたちが集結し、貧しい人々に対する宣言や約束がきちんと守られているかを吟味、評価し、現在世界中で起きている危機を共に心に留め、覚える機会となっている。