ドイツで行われた「ミッション・リスペクト会議」で、世界福音同盟(WEA)総主事のジェフ・タニクリフ博士は、「多宗教世界におけるキリスト者の証し:信仰の実践のための提言」というこの歴史的文書が近年においてどのように福音主義に影響を及ぼしてきたかについて、自らの省察を披露した。タニクリフ博士は、なぜWEAがこの文書の作業グループに参加したのかについて語るとともに、それが共通の関心分野における3つの世界的な教会組織同士の実りある恊働の模範としての役割を果たすようになればという自らの希望を表明した。WEAが9日、公式サイトで伝えた。
ドイツ福音同盟も受け入れ役を務めたこの会議は、「多宗教世界におけるキリスト者の証し:信仰の実践のための提言」という画期的な文書の3周年記念を祝って開かれた。ローマ・カトリック教会のローマ教皇庁諸宗教対話評議会(PCID)、世界教会協議会(WCC)、そしてWEAによって2011年6月28日に発表された文書だが、20億人を超える今日のキリスト者のうち合計で90パーセント以上を代表する、この3つの世界的な教会組織が、共同文書を出したのはこれまでで初めてのこと。
「時々、福音主義者やペンテコステ派である私たちの支持層は、伝道と証しの方法のために批判されています。WEAはそのような批判に耳を傾けたいですし、私たちの実践がキリストの支配に対して至らないところは認めて改めつつも、不相応な批判を正して私たちが必ず耳を傾けつつ聞いてもらえるようにもするのです」と、タニクリフ博士はこの文書の作業グループに参加してほしいというWCCの招きを受け入れたWEAの決定を省察して語った。
タニクリフ博士は、1846年の創立以来、WEAが信教の自由と正義の諸問題に責務を負って来たことを強調した。宣教の倫理に関するこの文書の議論と策定に参加したことは、他の伝統を持つキリスト者と非常に重要なレベルで協働し、参加しこの世界で証しをするようキリストが信者たちに招いておられるあり方を見つける機会となった。
「とりわけ私たちが聖書の権威を重んじることや、伝道と宣教に対する私たちの責務、そして十字架と復活の中心性に対する私たちの責務に関して、福音主義者にはより幅広い話し合いに対して提示するべきものがあります」と、タニクリフ博士は述べた。「そして私たちには、エキュメニカルな協力相手から学ぶべきことがたくさんあります。つまり、『キリスト者の証し』に積極的に関わることが、より幅広い話し合いや関係を築き強める助けとなってきたのです」
発表からの3年間を省察して、タニクリフ博士はこの文書が世界中で関係を築くための道具をもたらし、WEAの会員が自らのエキュメニカルな参加をさらに発展させるのを支える助けとなってきたと述べた。インドやブラジル、ノルウェー、カナダなどの国々を含め、世界中にある国レベル、地域レベルそれぞれの多くの福音同盟が「キリスト者の証し」の続きの過程に積極的に関与してきた。
「伝道と証しにおける私たちの動機や方法論については、WEAの中で内部的な話し合いのための機会もありましたし、教会や宣教団体がこのテキストを採用してそれを隣人への奉仕や周りの人たちへの証しの在り方に関する自らの議論の中で用いるのを見ると、わくわくしますね」と、タニクリフ博士は語った。
「キリスト者の証し」がどのように将来の伝道を形作っていくのか尋ねられたタニクリフ博士は、こう語った。
「世界中でこの文書が一つの資料として用いられる国々が増えるでしょうし、キリスト教の指導者たちはその教訓を各国それぞれの状況にあてはめるだろうと信じています」「さらに、『キリスト者の証し』という文書は、共通の関心分野において共に働くことがいかにして実りある結果をもたらしうるのかを示しました。今日の世界が直面している課題の状況からすれば、とりわけキリスト者である少数者にとっては、最近の現実に応える上で、他のキリスト教団体とともに関わる方法を見つけることが欠かせないのです」