世界中から250人を超える宣教従事者と教会指導者がドイツ・ベルリンに集まり、8月27日から28日まで「ミッション・リスペクト(尊重という宣教)会議」を開催した。会議では、2011年に採択した文書「多宗教世界におけるキリスト者の証:信仰の実践のための提言」を再検討した。世界教会協議会(WCC)が公式サイトで28日に伝えた。
この会議では、他者の信仰や文化を尊重しつつ、どのようにすれば宣教と伝道を責任ある形で行うことができるかを探求した。
議論された文書は、5年間にわたる作業の末、2011年6月28日に、世界教会協議会(WCC)、ローマ・カトリック教会の教皇庁諸宗教対話評議会、世界福音同盟(WEA)によって発表された、キリスト者の証における行動を扱った画期的な声明文。宗教間の緊張や宗教的信条の違いを意識して表明された文書で、教会やエキュメニカル組織、宣教組織の方針や神学的声明文というよりは、むしろそれらの組織のためのツールとして意図された内容となっている。
ミッション・リスペクト会議は、WCC、教皇庁諸宗教対話評議会、WEAの他、ドイツ国内の様々なプロテスタント教会とカトリック教会が加盟するドイツ・キリスト教会協議会(ACK)、ドイツ福音同盟の支援を受けて開催された。
「『多宗教世界におけるキリスト者の証』という文書の目的は、現在の自らの実践を省み、この文書にある勧告事項を用いて、適宜、異なる諸宗教の人たちの中における、そして特定の宗教を信仰していない人たちの中における自らの証と宣教のための各自の指針を作るよう、教会や教会協議会、宣教組織を促すことだ」と、ドイツのプロテスタント教会宣教協会(EMW)でディレクターを務めるクリストフ・アンダース牧師は述べた。「言葉と行いの両方によって、自らのキリスト信仰を証する上で、世界中のキリスト者が自らの実践に照らし合わせてこの文書を学ぶことが望ましい」と語った。
一方、WCCヨーロッパ会長のアンダース・ウェジュリッド名誉大監督は開会式で、「この文書は相互の尊重と連帯へと全ての人たちを招くものだ」と述べた。「キリスト者はお互いを尊重し合って全ての人々と共に働く責務を負い、共に正義・平和と共通の善を促進するよう招かれている。宗教間の協力はそのような責務の不可欠な次元だ」と語った。
ウェジュリッド名誉大監督は、「ベルリンでのきょうのこの会議はこの文書の産物の一つだ。私はこの会議に参加できて感謝しているし、また分かち合いお互いに耳を傾け合うために私たちを集めてくださった主催者に感謝している」と付け加えた。
教皇庁諸宗教対話評議会次官のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット神父は、「この文書は重要だが、さらにもっと重要なのは私たちが一緒に集まらなければならないこと、私たちが証をしなければならないこと、そして私たちが議論しなければならないことだ。私はさまざまな教会やさまざまな宗教の間でいま進められている議論を楽しみにしている」と語った。
WEA総主事のジェフ・タニクリフ博士は、「私たちは新たな架け橋を架けなければならない。しかし私たちが忘れてはならないのは、架け橋はいっぺんに架けないといけないということだ」とコメント。「私たちには皆、それぞれの場へ戻って架け橋を架けるという責任がある。話し合い、会議を開き、議論をしよう。けれども、批判が正当化されないときは、私たちは耳を傾け合うことを忘れないということも重要だ」と語った。