英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)がベネッセと協力して行っている「THE世界大学ランキング日本版2019」で、国際基督教大学(ICU)が私立大学1位となった。「教育充実度」と「国際性」で高く評価され、昨年1位の慶応義塾大学、2位の早稲田大学、3位の上智大学を抑えて躍進。国公立・私立合わせた総合ランキングでも11位に付けた。この他、キリスト教主義大学では、上智大学が4位、同志社大学が8位、関西学院大学が10位と、私立トップ10の中に4校がランクインした。また、聖路加国際大学は今年初めてのランクインとなったが、私立70校中28位と上位に食い込んだ。
THE世界大学ランキング日本版は、2017年に始まり今年で3回目。04年から続く本家の世界版が「研究力」を軸にしているのに対し、日本版は「教育力」を軸にしてランク付けしている。日本の既存の大学ランキングは主に入学時の学力を軸にしているが、日本版は「学生の学びの質や成長性」に焦点を当てているという。
日本版の指標は「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野16項目。「教育リソース」(5項目、34%)は、学生一人当たり資金や教員比率、教員一人当たりの論文数などに基づき、「どれだけ充実した教育が行われている可能性があるか」を示す。「教育充実度」(5項目、30%)は、学生調査と高校教員の評判調査を基に「どれだけ教育への期待が実現されているか」を評価。「教育成果」(2項目、16%)は、企業人事の評判調査から「どれだけ卒業生が活躍しているか」を示す。「国際性」(4項目、20%)は、外国人学生・教員の比率、日本人学生の留学比率、外国語で行われている講座の比率を基に算出されている。
国公立・私立を含めた総合ランキングでは、昨年、東京大学(世界版42位)とタイ1位だった京都大学(同65位)が総合スコア82・0で、東京大学の81・9を僅差で上回り、世界版とは逆転する形で初めて単独1位となった。この他、秋田県の公立大学である国際教養大学が「国際性」分野のスコアで満点の100を出すなどし、総合スコア76・7で10位に付けた。
私立1位となったICUの総合スコアは72・7。「教育充実度」「国際性」の分野別スコアがそれぞれ90・4と95・4で、いずれも国際教養大学に次いで国公立・私立含め2位という高評価を得た。一方、「教育リソース」「教育成果」はそれぞれ54・3と50・1で高くはない。しかし、いずれも昨年の52・0と44・4から伸びており、日本版は「『教育成果』分野のスコアを伸ばしたことも影響している」と、ICUがランクを上げた理由について分析している。
ICUは、日英バイリンガル教育を推進しているほか、教員の3人に1人が外国籍と、日常的に異文化に触れられる環境が整えられている。日本版は「多様性・国際性を重視する学修環境を生かした人材育成に圧倒的な強さ」があると評価している。
昨年の私立3位から1つランクを落として4位となった上智大学は、総合スコアが67・9だった。ICUと同じく「教育充実度」(83・5)と「国際性」(83・0)で評価が高い一方、「教育リソース」(45・9)と「教育成果」(66・8)で評価が落ちる傾向にある。しかし「教育成果」は、私立では慶応義塾大学、早稲田大学、東京理科大学に次ぐ4位だった。
私立8位の同志社大学と、10位の関西学院大学は共に、「教育充実度」が4分野の中で最も高く(同志社:77・5、関学:78・3)、次いで「教育成果」と「国際性」がそれぞれ60台(同志社:66・0 / 60・8、関学:60・2 / 64・3)で、「教育リソース」が低かった(同志社:42・4、関学:41・3)。
日本では現在、大学などの高等教育に対する改革が進められており、日本版はランキングを「順位そのものにとどまらず、大学独自の魅力や特性を客観的に把握するツール」として活用してほしいとしている。
THE世界大学ランキング日本版2019におけるキリスト教主義大学のトップ10は、下記の通り。