国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)と上智大学(同千代田区)は24日、「連携及び協力に関する包括協定」を締結した。上智大の四谷キャンパスで同日、両大の学長と副学長が出席して調印式が行われた。キリスト教主義に立つ両大は、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」の中間報告で共に最高評価の「S」を獲得するなど、国際化の分野で高く評価されている。協定締結により、今後は国連などの国際機関で活躍する人材の育成を共同で行うなど、具体的な取り組みを進めていく。
調印式には、ICUからは日比谷潤子学長と森本あんり学務副学長が、上智大からは曄道(てるみち)佳明学長と大塚寿郎学務担当副学長が出席。日比谷、曄道両氏が協定書に署名し、協定の概要について説明した。協定では、▽学生・教職員の相互交流、▽教育・研究に関する学術交流と情報交換、▽グローバル化の推進――の3点で協力することを定めた。
特に重要視するのはグローバル化の推進。国連などの国際機関で活躍する人材の育成は「個別の大学で競い合うような時代ではない」(日比谷氏)とし、国際機関で働く人が少ないといわれる日本で、世界に通用する国際人を協力して育てていく。具体的には、上智大学が開講する国際公務員養成のためのセミナーをICUの学生にも開放し、単位認定を行うことを検討する。
またキリスト教主義に立つ両大は、「神と人とに奉仕する人材の養成」(ICU)、「他者に奉仕することによって自己実現を目指す人材を育成」(上智大)と、共に「奉仕する」人材の育成を理念に掲げている。両大ではその実現のために、一定期間無償で社会奉仕(サービス)する「サービス・ラーニング・プログラム」を行っており、今後は互いのプログラムの相互参加を検討する。両大ともすでにさまざまな地域でプログラムを行っているが、相互参加可能にすることで、さらに幅広い地域、分野でプログラムを提供できるようになる。
この他、従来から研究交流を行ってきたICU社会科学研究所と上智大グローバルコンサーン研究所の交流強化、親和性の高い研究領域での共同シンポジウム、セミナーの開催を促進する。また、米国の大学で広く普及している大学運営に関わる分析・評価の取り組み「IR(Institutional Research)」において協働することも検討する。
協定に関する協議は、日比谷氏がICUの副学長に就任した時期から具体的に話が進められてきた。共にキリスト教主義を理念に掲げ、国際社会に貢献する人材の育成を目指すなど「親和性が高く、懸念材料がほとんど見当たらなかった」(曄道氏)という。一方、両大とも国内外のキリスト教関係の大学組織には加盟しているが、国内のキリスト教主義大学と2者間で包括協定を結ぶのは、両大ともこれが初めて。