国際基督教大学(東京都三鷹市、以下ICU)は6日、筑波大学(茨城県つくば市)と両者におけるトランスボーダー化を推進することを目的とした「Campus-with-Campus」(CwC)と位置付ける大学間連携協定を締結した。各校から関係者らが出席し、筑波大学東京キャンパス(東京都文京区)で調印式が行われた。
調印式には、ICUから日比谷潤子学長、森本あんり学務副学長、溝口剛教授、円谷恵大学事務局長、筑波大学から永田恭介学長、伊藤眞副学長、ベントン・キャロライン・ファーン副学長、佐藤稔晃教育推進部長が出席した。
調印後のあいさつで、筑波大学の永田学長は、「リベラル・アーツの最高峰であるICUと協定を結ぶことができたことをうれしく思う」と話し、ICUのリベラル・アーツが、筑波大学のこれからの教育コンセプトに合致していることを伝えた。また、「大学も学生も多様化する中では、これまでの組織の在り方ではできないことがたくさんある」と述べ、「国立大学と私立大学の壁をなくすといったパラダイムシフトが、有能な学生を育てることにつながれば、筑波としては大きな喜び」と語った。
続いてICUの日比谷学長は、同大が31の専攻分野を持ち、リベラル・アーツの枠組みの中で専門を深めてはいるが、規模がそれほど大きくないことを述べ、「今後、われわれだけではカバーし切れない医学医療系、スポーツ科学系、芸術系などの卒業研究を筑波大学において指導してもらえることは、学生にとって大きなメリットとなる」と語った。そして、他大学と連携をとることで、学生の視野を広めたいと考えていることや、同大ではいろいろな国に行きたいと希望する学生が多いことを伝え、「海外に多くの交流協定校を持ち、幅広い研究分野を持つ筑波大学と協定を結べることは非常にありがたい」と話した。
筑波大学の伊藤副学長は、同協定が従来の学生交流と違っている点について、CwCのもと、キャンパス機能を相互に共有し、トランスボーダー化を図っていくことで、両大学の学生は、相互の大学において、自分の大学のキャンパスで学習しているような学習環境になること、さらに、受け入れ人数の制限は設けていないことを説明した。その上で、「当初はそれほど多くない人数でのスタートになるが、今後は連携を重視し、人数を徐々に増やしていきたい」と力を込めた。
同協定の具体的な施策として、ICUの筑波大学活用については、▽医学医療系、スポーツ科学系、芸術系などの卒業研究を筑波大学において指導、▽筑波大学海外オフィスの利用、▽筑波大学の基礎科目の履修、▽筑波大学の協定校にICU学生が留学など。筑波大学のICU活用は、▽ICUの英語開講科目を中心とした基礎科目を履修、▽ICUの協定校に筑波大学学生が留学など。
また、両校共通となる施策として、派遣・受け入れプログラムの共同開発・共同実施、両大学が合同で科目を開設することが挙げられ、内容については今後ニーズのあるものを見極めた上で決めていくという。