国際基督教大学(東京都三鷹市)の千葉眞特任教授(政治学、同大学平和研究所長、無教会信徒)と稲正樹客員教授(憲法学、日本基督教団みくに教会員)は、29日に施行された安保法制について、30日、本紙にコメントを連名で寄せた。以下はその全文。
*
3月29日、いよいよ問題だらけの安保法が施行された。日本が参戦するリスクを大幅に高める問題だらけの法制である。この法制は、政府主導の戦争を絶対阻止しないといけないという戦争直後の日本国民が共有した戦争へのリアルな認識と平和への冷徹な決意を踏みにじる暴挙である。世界各地で起こるであろう米国の戦争への加担を許す法制である。「政府の行為によって再び」起こる「戦争の惨禍」への想像力の欠如、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」する精神の尊さを欠如した安倍政権の平和ボケした思慮を欠いた法制である。
2年前の7月1日の集団的自衛権行使の閣議決定に始まり、昨年9月19日未明の安保法の採決強行に至る安倍政権の所作が、いかにこれまで国政において重視されてきた立憲主義、法の支配、民主主義的な適正手続き(デュー・プロセス)、平和主義の尊さを無視してきたことか。
憲法と法律と慣例を次々に無視して暴走する安倍政権。その数年間の間違いを今すぐ元に戻す作業に着手しないとまずいだろう。そうしないと、戦後築き上げてきた立憲主義、民主主義、平和主義の成果が消失してしまう。こうした今日の政治的危機を察知した国民がこぞって立ち上がり、来るべき夏の参院選には安倍内閣を政権から引きずりおろす第一歩にする必要があろう。
要は参院選で安倍政権を勝たせないことである。また今、総がかり行動実行委員会を中心に提起されている4月末までの2千万人署名を成し遂げ、政府に提出することであろう。
国際基督教大学 平和研究所所長・特任教授(政治学) 千葉眞
客員教授(憲法学) 稲正樹
*
なお、「戦争させない・9条壊すな!総がかり実行委員会」が現在、「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」をしており、千葉氏や稲氏も呼び掛け人となっている「立憲デモクラシーの会」もその協賛をしている。署名用紙はこちら(PDF)。