文化庁はこのほど、日本国内の宗教統計調査をまとめた『宗教年鑑』の最新版(2018〔平成30〕年版)を発表した。それによると、キリスト教系の宗教法人数は4696法人(前年比6増)で、非法人化団体を含めると8626団体(同8増)だった。信者数は、上位15教団中5教団で10~137人増加したが、他の10教団は減少し、全体として減少傾向にある。
信者数を教団別に見ると、最も多いカトリック教会は44万832人で、前年からは275人減少した。続く日本基督教団は11万5502人(同2271減)、日本聖公会は4万8449人(同779減)で、上位3教団はいずれも減少した。
一方、4位の日本バプテスト連盟は3万4121人(同137増)、5位の日本福音ルーテル教会は2万1908人(同98増)、6位のセブンスデー・アドベンチスト教団は1万5207人(同13増)と、それぞれ増加した。その他、7~15位以内で信者数が増加したのは、イムマヌエル綜合伝道団(同10増)と日本正教会(同17増)のみで、他教団は軒並み減少した。
順位は、日本同盟基督教団(9位→8位)と日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団(8位→9位)、イムマヌエル綜合伝道団(11位→10位)と日本キリスト教会(10位→11位)で入れ替わりがあったのみで、大きくは変わらなかった。
法人の変更としては、日本長老教会が「その他(それ自身は宗教法人になっていないが、それに包括される団体のうちに宗教法人がある包括団体)」から「包括宗教法人」に変更され、キリスト教系の包括宗教法人は前年から1つ増え、72法人となった。また、いのちのことば社の法人名が「スウェーデン同盟キリスト教団」から「いのちのことば宣教団」に変更されるなどした。
キリスト教系に分類される宗教団体の総信者数は192万1834人で、前年の191万4196人から7638人(約0・4%)増加し、全宗教団体の総信者数に占める割合は1・1%だった。教師数は3万852人で、前年と比べ266人増加したが、女性が占める割合は13・9%と、神道系(36・1%)、仏教系(53・2%)、諸教(61・6%)に比べて最も少なかった。
なお、『宗教年鑑』でキリスト教系と分類される宗教団体には、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)や、ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)、世界平和統一家庭連合(統一協会)なども含まれている。末日聖徒イエス・キリスト教会については、包括宗教法人であるため『宗教年鑑』で信者数が公開されており、12万7166人(同666増)だった。
ものみの塔聖書冊子協会と世界平和統一家庭連合については、単立宗教法人であるため、『宗教年鑑』で信者数などは公開されていないが、「2018奉仕年度(17年9月1日~18年8月31日)の報告 エホバの証人の世界的な活動」によると、ものみの塔聖書冊子協会の信者数(伝道者最高数)は21万2802人。また、国際宗教研究所・宗教情報リサーチセンターの「教団データベース」によると、世界平和統一家庭連合の信者数は56万人(15年)。これら3つの宗教団体の信者数は合計約90万人となり、『宗教年鑑』でキリスト教系と分類される宗教団体の信者数のうち半数近くを占めることになる。
また、『宗教年鑑』に記載の統計調査は、各宗教法人の報告に基づくもので、信者の定義や資格などに違いがあることなどから、各宗教団体で重複することもあり、総信者数は約1億8116万人と、実人口1億2659万人(18年1月1日)の約1・43倍になっている。また、調査は宗教法人ベースで行われているため、非法人宗教団体のみを有する包括宗教団体や単立宗教団体は調査の対象外となっている。
キリスト教の主要15教団の信者数(2017年12月31日時点)は下記の通り。( )内は前年の信者数。
- カトリック教会 44万832人(44万1107人)
- 日本基督教団 11万5502人(11万7773人)
- 日本聖公会 4万8449人(4万9228人)
- 日本バプテスト連盟 3万4121人(3万3984人)
- 日本福音ルーテル教会 2万1908人(2万1810人)
- セブンスデー・アドベンチスト教団 1万5207人(1万5194人)
- イエス之御霊教会教団 1万4344人(1万4519人)
- 日本同盟基督教団 1万2455人(1万2463人)
- 日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団 1万2269人(1万2749人)
- イムマヌエル綜合伝道団 1万1388人(1万1378人)
- 日本キリスト教会 1万1265人(1万1493人)
- 日本キリスト改革派教会 9765人(9779人)
- 日本正教会 9516人(9499人)
- 日本イエス・キリスト教団 7726人(8113人)
- 日本ホーリネス教団 7393人(7561人)