国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)は、同大那須キャンパス(栃木県那須町)の一部を活用して太陽光発電所を建設し、この夏から発電事業を始めた。出力規模は約2・36メガワット。合計約1万枚の太陽光パネルにより、年間発電量は一般家庭約700世帯が1年間に使用する電力量に相当する約240万キロワット時となる。発電した電力は電力会社に売り、事業収益は学生支援を目的とした奨学金などに活用するという。年間の売電収益は約3千万円を見込んでいる。
同大は、キリスト教精神に基づくリベラルアーツ大学として「ICU環境宣言」を制定し、さまざまな活動においてキャンパス環境への適切な配慮と管理に取り組んできた。東日本大震災後、日本社会で再生可能エネルギーのニーズが高まる中、震災で被災し、遊休地となっていた那須キャンパスの敷地の4%に当たる3万6400平方メートルの土地を利用して、第一発電所と第二発電所の2つを建設した。
総事業費は7億円で、昨年12月に着工し、今年6月30日から東京電力への電力供給を開始した。7月10日には、事業開始の記念式典が、北城恪太郎理事長ら同大関係者のほか、発電所建設関係機関・団体から約30人が出席し、同大那須キャンパスの太陽光発電所で行われた。
同大では、この太陽光発電事業を、学生や関係者に再生可能エネルギーの現状や可能性について知ってもらう機会とも捉えており、「今後は教職員、学生と共に、社会における大学の役割、大学施設におけるよりよいエネルギー使用の在り方を考えていきたい」としている。
大学における太陽光発電事業は他にも、千葉商科大学(千葉県市川市)が昨年から、閉鎖した同県野田市にあるグラウンド跡地を利用して発電事業を行うなどしている。