日本学術振興会は、文部科学省が推進するスーパーグローバル大学等事業のプログラムの一環である「経済社会の発展を牽引(けんいん)するグローバル人材育成支援」について、採択された42事業の中間評価の結果を発表した。2012年度と2013年度の取り組み状況に加え、大学が積極的に記載する事項について調書提出時までのものを対象に、SからDの5段階で評価した。
「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援」とは、経済社会の発展に資することを目的に、グローバルな舞台に積極的に挑戦し世界に飛躍できる人材の育成を図るため、学生のグローバル対応力を徹底的に強化し、推進する組織的な教育体制整備を行う取り組みを支援するもの。同会では、プログラム委員会を設け、この事業に関する審査・評価を実施している。
評価結果は、S評価(優れた取り組み状況であり、事業目的の達成が見込まれる)が5件で全体の12%、A評価(これまでの取り組みを継続することによって、事業目的を達成することが可能と判断される)が24件で全体の57%、B評価(当初目的を達成するには、助言などを考慮し、より一層の改善と努力が必要と判断される)が13件で全体の31%だった。
キリスト教系大学で採択されている国際基督大学(ICU)は、S評価と最高の評価が与えられた。これまでの国際的なリベラルアーツ教育の推進に加え、さらに新規性を求めた取り組みを進めていることが高く評価された。
その他にもキリスト教系大学では、同志社大学、関西学院大学、上智大学が共に支援対象として採択されているが、今回の中間評価では、同志社と関西学院がともにA評価、上智大学はB評価だった。
同志社は、事業における施策が一つのモデルになると期待され、また英語力向上についても学生のニーズを正しく把握した対応がされていると評価された。関西学院は、事業の波及の大きさということで、スーパーグローバルハイスクールに指定されている付属高校との連携による、質の高いグローバル人材の育成などにも注目され高評価を得た。
上智大学は、教員のグローバル教育力や、活発な広報活動について高く評価された一方で、目標達成状況ついて、当初設定した数値目標が大幅に下回った項目があることが指摘され、今後その原因について分析し、取り組みの改善を図ることが望まれるとコメントされている。
同会は今回の審査報告の中で、全般的に見て、対象学部での取り組みは順調だとしている。その一方で、同事業が対象学部以外への波及が進まない点や、外国語習得に対して意欲の低い学生のモチベーションをどのように上げていくかなどが、今後の課題だとしている。