同志社大学の京田辺キャンパス(京都府京田辺市)で、同大初の宗教施設となる礼拝堂「言館(ことばかん)」の建設が行われている。既存の建物に増築して造っている「光館(ひかりかん)」と共に4月にはオープンする。
「言館」は昨年4月に着工し、今年3月に完成予定。2階建て延べ床面積700平方メートルの大きさで、250人を収容できる。外から内部の様子が見られる大きな窓が特徴で、キリスト教徒でない学生への心理的な壁を低くした「開かれた礼拝堂」を目指す。
同大は、今出川キャンパスに隣接した、室町キャンパス、新町キャンパス、烏丸キャンパスの4キャンパスを含む今出川校地(京都府京都市)と、京田辺キャンパス、多々羅キャンパス、学研都市キャンパスの3キャンパスを含む京田辺校地があるが、 後者には礼拝堂がなく、長年の懸案だったという。
キリスト教主義大学の同大では、最も大切なひとときとして、キリスト教文化センターがさまざまなプログラムを提供しているが、これまでこうしたプログラムは集会室などで開催されていた。新設される「言館」は、礼拝形式のチャペル・アワーなどに使われる。
「光館」は学生のラウンジや大学の歴史を展示する文化センターで、面積を現在の建物の約2倍に増築する工事を行っている。両館を合わせて「同志社京田辺会堂」と称し、通路を挟んで入り口が向かい合う。大学の教育理念を表した造りになっており、言館がキリスト教主義、光館が自由主義、両館の間に設けた水辺空間「新島襄の海」が国際主義を象徴するという。
「言館」と「光館」、それぞれの名称は、聖書(共同訳)の言葉に由来している。「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった」(ヨハネ1:1)、「初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。『光あれ。』こうして、光があった」(創世記1:1~3)
同大の校地内にある建築物は他にも、「夢告館(むこくかん)」=「視(み)よ、主の使、夢に現れて言ふ『ダビデの子ヨセフよ、妻マリアを納(い)るる事を恐るな。その胎に宿る者は聖霊によるなり』」(マタイ1:20)、「香柏館(こうはくかん)」=「その影はもろもろの山をおほひそのえだは神の香柏のごとくにありき」(詩篇80:10)、「待辰館(たいしんかん)」=「わがたましひは衛士があしたを待つにまさり誠にゑじが旦をまつにまさりて主をまてり」(詩篇130:6)など、聖書の言葉から命名された館名が多くある。
また、今出川校地にある同志社礼拝堂(チャペル)は、D・C・グリーンによる設計で、1886年6月に竣工したプロテスタントのレンガ造チャペルとしては日本に現存する最古の建物だ。