そこで基本的なことですが、結局「何が必要か」という顧客真理をつかんでいるということです。当然アイディア商品が工夫され、知恵が求められます。さらに言うならば、相手の立場に立ち、思いやる心が確かに求められます。
フィンランド南部に、ナンタリという美しい町があります。このナンタリは港町で、そこからスウェーデンやバルト三国方面へクルーザーに乗って行けます。年間約2万人の日本人観光客が来るそうです。その港に一千人ぐらい収容の大型クルーザーが備え付けで置いてあり、各キャビンには立派なサウナも付いていました。中には映画館、ディスコもあり、すべて整っています。ひとりの若い従業人が、クルーザー内を案内してくれました。
最後に、私は彼にいろいろな質問をしました。彼は「あと一週間で私はここを辞めるのです」と言いました。「えー、どうするの?」「これから軍隊に行きます。軍隊で一年半兵役に就きます」。「それからどうするの?」と聞くと、「それからは大学に行く」と言いました。「大学に行って何をするの?」と聞くと、「インターナショナル・エコノミー(国際経済)の勉強をします。そして自分はやはり国際的ビジネスをやっていきたい」と言いました。
私はその前後に、フィンランドで何人かの若者たちに尋ねましたが、非常に驚きました。それは何かといえば、これから大学に行く人たちが「勉強することは楽しいですよね」と語った言葉でした。今の日本社会で、「大学に行って勉強することが楽しい」、と言う人は先ず少ないのではないでしょうか。いわゆる卒業証書一枚もらうために行く人や、親が行きなさいと言うから行く、という程度で勉強をとらえている人が多いのが日本社会の実情でしょう。彼らには、「学んだことは結局自分のためになる。自分のプラスになる。そして自分を生かすため、自分をもっと育てるため、自分のために学ぶのだ」というモチベーションが感じられました。ですから、彼らは一生懸命学び前向きに進むのです。考えてみると、人は自分の好きなこと、関心があることに向かえば肯定的に進みます。事業を志す人には、必ず一つや二つこのような優れた積極的姿勢が見られます。
■ キリストの人材教育: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
(12)(13)(14)(15)(16)(17)(18)(19)(20)(21)(22)(23)(24)(25)(26)(27)(28)(29)(30)(31)
◇
黒田禎一郎(くろだ・ていいちろう)
1946年、台湾・台北市生まれ。70年、ドイツ・デュッセルドルフ医科大学病院留学。トリア大学精神衛生学部、ヴィーダネスト聖書学校卒業。75年、旧ソ連・東欧宣教開始。76年、ドイツ・デュッセルドルフ日本語キリスト教会初代牧師就任。81年、帰国「ミッション・宣教の声」設立。84年、グレイス外語学院設立。87年、堺インターナショナル・バイブル・チャーチ設立、ミニスター。90年、JEEQ(株式会社日欧交流研究所)所長。聖書を基盤に、欧州情報・世界 情報、企業講演等。98年、インターナショナル・バイブル・チャーチ(大阪北浜)設立、活動開始。01年、韓日ワールドカップ宣教GOOL2002親善大使として活躍。著書に『世界の日時計』(Ⅰ~Ⅲ)、『無から有を生み出す神』『新しい人生』『愛される弟子』『神のマスタープランの行くへ』『ヒズブレッシング』、韓国語版『聖書と21世紀の秘密』、中国語版『神の聖書的ご計画』他訳書あり。