一保堂茶舗の企業姿勢
私たちは京都「一保堂茶舗」の若女将、渡辺都女史のスピーチから、いろいろなことを教えられました。その中のひとつ、「約288年間もビジネスが続けられた背景は一体何だろうか」という点にあります。経営者であれば、恐らく同じような視点に目が留まったのではないかと思います。結論から言えば、それは結局のところ「人」であります。人が、300年近くも受け継ぎビジネスを続けてきたのです。一保堂のホームページを検索しますと、「一保堂が求める人材」という項目があります。一保堂がこの288年間、どのような人材を集めてきたかについて、3つの求める人物像がそこに浮かんでまいりました。
求められる人材
一番目は「意欲のある人」です。
この心構え、すなわち意欲とは、何かを進んでしようとする心です。ただ元気であるとか、エネルギッシュな人だからというだけではなく、自分の目指す夢や目標に向かってきちんと行動できる人、そこには強い意志、すなわちあきらめない心がある人です。他の言葉で言うならば自立心、甘えない心が必要であると書いてあります。ですから、意欲は確かに大きな一本の柱になります。
二番目は「感受性」です。
仕事は、コミュニケーションの積み重ねであると一保堂さんは言っています。会社の内側あるいは外側に関わらず、その場の状況を見て速やかに行動できる人、すなわちその状態をしっかり受け止め、そして整理できる人です。逆に、たとえやる気があっても周りの人とのコミュニケーションがうまくいかなかったりすると、相手の立場で物事を考えにくいということもあります。そして、社会人としてもその道のりが険しくなってくることもあります。周りと調和しながら、より良い方向を探る感受性は非常に大切です。
そして三番目に「論理性」を挙げています。
経験の全くない業務に新しく取り組むとき、そこで問題が生じた場合に、意欲と感受性だけでは整理できない場面があります。その時、問われるのは論理性だと言います。つまり、論理的に筋道を立てて考えられる能力です。そこには目的、計画、実行が伴い評価するという順で仕事を進められる人。すなわち一つの仕事を丸暗記して繰り返すのでなく、なぜそうなるのかを追求して仕事の改善を提案できる人だと言います。これらの意欲、感受性、論理性という3つのポイントに視点を置き、新入社員を採用していると知ったときに、私はいろいろと考えさせられました。これは大変大きなテーマですので、私はこの中の二番目の「感受性」に的を絞って考えてみたいと思います。
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黒田禎一郎(くろだ・ていいちろう)
1946年、台湾・台北市生まれ。70年、ドイツ・デュッセルドルフ医科大学病院留学。トリア大学精神衛生学部、ヴィーダネスト聖書学校卒業。75年、旧ソ連・東欧宣教開始。76年、ドイツ・デュッセルドルフ日本語キリスト教会初代牧師就任。81年、帰国「ミッション・宣教の声」設立。84年、グレイス外語学院設立。87年、堺インターナショナル・バイブル・チャーチ設立、ミニスター。90年、JEEQ(株式会社日欧交流研究所)所長。聖書を基盤に、欧州情報・世界 情報、企業講演等。98年、インターナショナル・バイブル・チャーチ(大阪北浜)設立、活動開始。01年、韓日ワールドカップ宣教GOOL2002親善大使として活躍。著書に『世界の日時計』(Ⅰ~Ⅲ)、『無から有を生み出す神』『新しい人生』『愛される弟子』『神のマスタープランの行くへ』『ヒズブレッシング』、韓国語版『聖書と21世紀の秘密』、中国語版『神の聖書的ご計画』他訳書あり。