【CJC=東京】教皇フランシスコがロシア正教会の最高指導者、キリル・モスクワ総主教に、「どこででも会合したい」というメッセージを伝えていたことが明らかになった。
教皇メッセージは、モスクワで公演中のシスチナ礼拝堂聖歌隊の指揮者によって、私的に伝えられたという。キリル総主教はメッセージに感謝の意を表したものの、応答はしなかった。
教皇が聖地を巡礼訪問した際に、正教会コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教バルソロメオス1世と会見していることから、今回のメッセージの重要さが浮かび上がっている。モスクワ総主教座は、バルソロメオス1世が正教会の指導者であると主張することに神経を鋭敏にしている。
これまでも教皇とモスクワ総主教との会合を図る動きが見られたが、実現には至っていない。正教会側は、ローマとモスクワ間の緊張が解決するまで「サミット会談」の機は熟さないと言う。
緊張はこの所、ウクライナ問題でさらに強まっている。ウクライナのビザンチン典礼カトリック教会指導者が政治的緊張に火を付けてきた、と正教会側は苦情を訴えている。ウクライナを自身の「教会領域」とするモスクワ総主教座にとってはカトリック教会の強力さが頭痛のタネなのだ。