国際的なカトリック援助団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)の最新の報告(英語)によると、カトリックの聖職者や修道者に対する迫害は2023年に憂慮すべき増加を見せ、計132人が宗教的理由により逮捕されたり、誘拐や殺害されたりした。
ACNの報告によると、23年に宗教的理由により逮捕された聖職者、修道者は86人で、前年の55人から増加した。このうち、42人は依然として勾留されたままとなっている。
一方、誘拐されたのは33人で、こちらは前年の54人からは減少した。殺害されたのは、司教1人、司祭11人、修道士1人の計13人。23年はこれに加え、神学生1人も殺害されたが、前年と比べると4人減る形となった。しかし、逮捕、誘拐、殺害された聖職者、修道者を合計すると、124人だった22年からは8人の増加となった。
この悲惨な傾向は、カトリックの聖職者や修道者が最も脅威にさらされているベラルーシや中国、ニカラグア、ナイジェリアといった国々で特に顕著だった。一方、ACNは、特定の国では情報の入手自体が困難で、実数はさらに多いと推測。報告でまとめているのは確認された事例のみだとし、次のように述べている。
「権威主義的な政権は、不正や人権侵害に対して発言した教会を罰するため、あるいは単に自由に活動しようとした教会を罰するために、司祭や修道者を拘束する手段に訴えてきました」
中でもニカラグアの状況は特に悲惨だった。当局は23年12月に、イシドロ・デル・カルメン・モラ・オルテガ司教を含む少なくとも19人の聖職者を逮捕した。逮捕された者の中には、司教2人のほか、神学生も4人含まれていた。その後、司祭2人は釈放されたが、他の17人は今年1月14日に、22年に逮捕され、23年に禁錮26年4月の判決を受けたロランド・アルバレス司教と共に国外追放となった。
中国でも23年の1年間を通して聖職者20人が逮捕された。しかしACNは、中国から正確な情報を入手することは依然として困難だとしている。
同様に、ベラルーシでも少なくとも聖職者10人が逮捕され、23年末時点で3人がいまだに勾留されている。
ウクライナでは、1年以上前にロシア軍に逮捕された司祭2人が勾留されたままになっている。
インドでは、キリスト教などへの改宗に関与することを禁じる「改宗禁止法」が施行されており、修道女1人と、司祭や修道士ら少なくとも5人が逮捕された。彼らは釈放されたものの、何人かはいまだに投獄の可能性のある訴訟に直面している。
ナイジェリアでは、修道女3人を含め28人が誘拐され、誘拐被害が最も多い国だった。
聖職者が誘拐された国には他に、ハイチ、マリ、ブルキナファソ、エチオピアがあり、ほとんどは既に解放されたが、ナイジェリアの司祭3人とブルキナファソの司祭1人は行方不明のままとなっている。
ACNインターナショナルのレジーナ・リンチ執行会長は、「私たちは、ナイジェリアやニカラグアのような国々において、司祭が司牧を遂行するだけでしばしばさらされる危険の高まりについて、深く懸念しています」と話している。