過去最多となる14カ国の駐日大使らが出席する中、教団教派を超えて約520人が集まり、国の指導者と世界の平和のために祈りをささげた第19回国家朝餐祈祷会。今年は、前回までの「晩餐祈祷会」から「朝餐祈祷会」として新しいスタートを切っただけでなく、前夜には「ビジネス伝道への執り成し」をテーマに祈り会を開き、当日には教会を支える若いビジネス信徒の育成をテーマにしたセミナーを新しい試みとして開催した。
前夜祈り会「ビジネス伝道への執り成し」
祈祷会の前夜、会場に近い有明のホテルで開かれた祈り会には、海外からの来賓を含め約150人が参加。祈祷会を主催する日本CBMCでアドバイザーを務める日本基督教団赤坂教会の姫井雅夫主任牧師が、「祈りから始めよう」と題して講演した。
姫井氏は、フィリピの信徒への手紙4章の冒頭で、パウロがフィリピにいる信徒たちに対し、「わたしが愛し、慕っている兄弟たち」「わたしの喜びであり、冠」(1節)、「真実の協力者よ」(3節)と呼び掛けていることを紹介し、「神様が同じように私たちを見ていてくださることをいつも覚えていてほしい」と語った。そして、呼び掛けに続くパウロの勧めの言葉、「主によってしっかりと立ちなさい」(1節)、「同じ思いを抱きなさい(一致)」(2節)、「支えてあげてください(相互扶助)」(3節)、「主において常に喜びなさい」(4節)、「あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい」(5節)を引用し、「神様が私たちに願っているのは、こういうことだということをぜひ知ってほしい」と話した。
さらに、6節と7節「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ・・・そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう」を引用。「いろいろな問題に囲まれるとき、自分のことばかり追いかけていけば、(問題の)穴をもっと掘り下げてしまうことになる。しかし、思い煩わないで神に祈り、神に感謝することを通して神の御心がなされていくとき、そこには繁栄があり、平安があり、喜びがあり、恵みがある。私たちがまずしなければならないのは、神に感謝することと祈ること」と説いた。
「もし今日、神様が皆さんの心に語っておられるとするならば、聞くだけでなく、心の中に受け止めてほしい。クリスチャンに変えられたビジネスマンを通して、この世界、日本の宣教は広げられていく」。姫井氏はこう呼び掛け、CBMCが意味する「Connecting Business and Marketplace to Christ」から、「ビジネスとマーケットプレイスをキリストにコネクトしていく。それが今日、ここに集まった皆さんに神様が与えてくださっている使命」と強調した。
北米トヨタ副社長「人生でコントロールできる2つのこと」
祈祷会当日のセミナーは、有明セントラルタワーのアチーブメント東京研修センターで開かれ、約100人が集まった。21世紀キリスト教会の増山浩史主任牧師が「信仰と天国経済」と題してメインメッセージを語ったほか、米国のメガチャーチとして著名なゲートウェイ教会(礼拝参加者3万人)の代表として、北米トヨタ自動車副社長のジャック・ホリス氏と同教会長老のエリック・フェルマン氏が特別メッセージを伝えた。
ホリス氏はメッセージの冒頭で、「皆さんはキリストの使節(2コリント5:20)としてその権限を与えられている。皆さんが行うことはすべて、皆さんでなく、神様が皆さんを通してなされるということを知ってほしい」と強調した。また「天の父なる神様を賛美することは、教会だけで行われることではない」と指摘。「日々、自分が置かれるどのような環境の中でも、イエス・キリストを伝え、表すプロであるべき。皆さんが置かれているビジネスの環境の中で、イエス・キリストを伝え、表すリーダーとして日々力強く歩み続けることをお勧めしたい」と語った。
ホリス氏は「人生の中で私たちがコントロールできるものは2つしかない」と語り、物事に対して「どのような態度を取るか」と「どれだけの努力をするか」の2つを挙げた。「良い態度で自分のすべてを注ぎ込んで努力し、後は信仰をもって100パーセント神に委ねるなら、その結果は神が受ける称賛だと確信できる」と語った。
最後にホリス氏は、「私たちの天の父は、皆さん一人一人を通して働かれ、この日本で神の国を拡大させる働きに、皆さんを必ず用いられると確信している。その働きによって、多くのあふれる命が日本に増し加わるだろう」と話した。
聖書的なビジネスの原則
フェルマン氏は、ゲートウェイ教会でビジネスパーソンを対象に教えられている聖書的なビジネスの原則のうち2つを紹介した。一つは「種まきと刈り取りの原則」。フェルマン氏は、「もしホリス氏の話した態度で種をまいたなら、必ず多く刈り取ることになる」と語った。もう一つは、「神に知恵を求めること」(ヤコブ1:5)。「(ゲートウェイ教会牧師の)ケビン・グローブ氏と(日本CBMC理事長の)青木仁志氏は過去数年間、教会とビジネスのリーダー数人を集めて、日本社会に大きな変革をもたらすための祈りのグループを作っていきたいと祈り続けている」と述べ、その実践例として紹介した。
聖霊に聞き従うことがクリスチャンライフの醍醐味
増山氏はメインメッセージの冒頭で、「適正に物事を評価する力があるならば、この世でも大成功を収めることができる。とするならば、私たちは教会というものを適正に評価しているだろうか」と問い掛けた。その上で、エフェソの信徒への手紙1章20〜23節を引用し、「教会は、適正に評価するならば、『いっさいのものをいっさいのものによって満たす方の満ちておられるところ』(23節)。霊の目で見るならば、教会は光り輝いている」と説いた。
また、「私たちクリスチャンがどれだけ素晴らしいかについて過小評価してはいけない」とも指摘し、ヨハネによる福音書16章7節と13節を引用した。7節には「弁護者をあなたがたのところに送る」とあり、13節には「真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる」とある。増山氏は、「聖霊に満たされて聖霊の声を聞くということが、クリスチャンライフの一番の醍醐味(だいごみ)。聖霊の声に聞き従って私たちが合同していくときに、本当に神様は私たちを祝福してくださる」と語った。
最後に増山氏は、集まったクリスチャンのビジネスパーソンたちに対し、教会にささげる十分の一献金の重要性を強調した。十分の一献金についての祝福が書かれたマラキ書3章8〜12節を引用し、「私たちを愛している神様がどれほど恵み深いお方で、祝福する力にあふれているかを体験させるために、私たちにこの御言葉を与えてくださっている」と説いた。
「私たちが神様の声を聞いて行動し、神様の栄光が現れたときに、神様の喜びが私たちに伝わってきて、涙が止まらなく流れるのを体験する。神様と喜びを共にすることを一度でも体験するならば、そのことに勝る喜びはないし、そのことに勝る宝はないし、それが最も良いものであることは明らか」。増山氏はそう語り、「もらう」ことに焦点を当てた信仰ではなく、主を信頼して人々に「与える」信仰を持つよう参加者たちを励ました。