ネイサン・ファガーリーは、ミッション・アビエーション・フェローシップ(MAF)のパイロットだ。乗客や物資と共に、彼は多くの記憶や物語を運んでいる。その中には、驚くほど痛ましいものもある。例えば、彼がインドネシア・パプア州のある飛行場について語った話がそうだ。
彼の飛行地域は、主にこの地域だ。「私はこの滑走路が大好きなんです。『アパハプサリ』という名前です」とファガーリーは語る。その名に引かれた彼は、現地のヤリ族にその意味を尋ねた。彼らの母語での意味はこうだ。「『アパ』は『人間』、『ハプサリ』は『皮を剥ぐ場所』という意味だと教えてくれました」
その率直な答えに、彼も率直に聞き返した。「なぜこの滑走路はそんな名前なんだい?」すると彼らは、谷の向こうを指差しながら語り始めた。「かつて、夜にあの村へよく襲撃に行ったもんさ。生きたまま人間を捕らえて、ここへ連れ帰ってきて、皮を剥ぎ、食べていたんですよ」
それはぞっとするような話だが、ファガーリーは声に少しの動揺も見せずにそれを語った。なぜなら、人狩りの歴史とファガーリーがその村に入るまでの間に、ある出来事が起きたからだ。その出来事とは、福音なのである。
1950年代、宣教師たちがこの部族にイエス・キリストとその御言葉を初めて伝え始めたとき、彼らは激しい反発に遭い、2人の宣教師が命を落とした。しかし、ヤリ族が徐々に御言葉を受け入れていくにつれ、村全体に驚くべき変化が広がっていった。かつては人間を狩って食べていた彼らが、今では魂の救いを求めて「人を狩る者」に変えられたのである。
ファガーリーがこの部族に出会ったのは2018年だ。その時、彼らは霊的な変革に伴って起きた具体的な変化について話してくれた。「彼らはこう言いました。『ここは以前、人の皮を剥いで食べていた場所だったんだ。でも今では飛行機の滑走路になったんだ。そして、部族の儀式をつかさどる小屋は今、教会になったんだよ。あの谷の向こうにある、かつて襲撃に行っていた村はといえば、今では互いに息子や娘を嫁がせ合って婚姻関係を結ぶ間柄になったんだ』と」
ヤリ族の変化は、神の言葉は決してむなしく終わることがないことを示している。「それは人を個人的に、文化的に変えます。自分自身の見方、隣人への見方、世界への見方を変えてくれるのです」とファガーリーは言う。
MAFのパイロットたちは、困難な地形を越えて福音を運ぶ重要な役割を担っている。パプアの山岳ジャングルでは、村々が地形によって隔てられており、村から村へと歩いて行くには何日もかかる。
「でも、MAFの飛行機なら15〜20分で行けるんです。それだけではなく、家族や食料、建材なども運ぶことができます。その結果、たった一世代で、ヤリ族は人食いからキリスト信者へと変えられたのです」とファガーリーは語る。
ヤリ族の変化はMAFの実の一例に過ぎない。このように素晴らしい働きをしているMAFのパイロットたちとその乗客たち、そして彼らが仕えている村々のために祈ろう。安全な飛行、働きの扉が開かれること、そしてパプアの人々が福音に心を開いていくように祈っていただきたい。
■ インドネシアの宗教人口
イスラム 80・3%
プロテスタント 10.8%
カトリック 3・1%
儒教 0・9%
仏教 0・4%
ヒンズー教 1・3%
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