国際的なビジネス宣教団体「CBMC」の4年に一度の世界大会が、北アイルランドのベルファストで6月23日から25日まで「計り知れない希望を掲げて」をテーマに開催された。世界60カ国から約400人が参加し、日本からは日本CBMCの青木仁志(さとし)理事長夫妻をはじめ9人が参加した。3日間にわたり多くの講演と証しがなされ、北アイルランド出身の有名デュオ「キース&クリスティン・ゲティ」によるアイリッシュ風の賛美が披露されたほか、一対一の弟子訓練システム「電子オペレーション・テモテ」(英語)の最新版も紹介された。
開催地となったベルファストは人口35万人を擁する北アイルランドの首都。かつて1960年代から80年代にかけ、カトリックとプロテスタントの住民が武力衝突を繰り返し、3500人余りが命を落とした町として有名だ。現在は政治的安定を取り戻し、争いでなく平和と和解を世界に発信する町に変わっている。キリスト教の停滞が著しいといわれる欧州にあって、ビジネスを通した宣教を進めるCBMCがこの地を世界大会の開催地に選んだのには大きな意義がある。大会でも「神と人」また「人と人」の間に立って仕え働く「和解の大使」としての役割について多くの時間を割いて学び、証しがなされた。
各講演は「Ministry」「Marketplace」「Culture」をキーワードに行われた。「希望の源はイエス・キリストにあり、キリストを紹介することが私たちのミニストリー(Ministry)」「自分の置かれた場所が私たちにとってのマーケットプレイス(Marketplace)」「文化(Culture)には大きな違いがあるが、それら一切を超えて唯一変わらない方がイエス・キリスト」など、各講師が3つのキーワードを基に語った。
アルコール中毒の両親に育てられたというある米国人ビジネスマンは、キリストに出会って変えられ、CBMCのメンバーとして活動する一人だ。12年間毎週火曜日に朝6時半から聖書の学びを行い、27年間にわたって弟子づくりをしてきた証しを語った。会社の利益も半分は財団を通して社会に還元していると言い、「富を用いて福音を分かち合い、人々を豊かにすることはビジネスの使命」と話した。
北アイルランドの著名な数学者で聖書研究家としても知られるジョン・レノックス氏(オックスフォード大学教授)は、神について公に語ることを恐れるなと参加者を励ました。
ベルファストは『ナルニア国物語』の著者C・S・ルイス誕生の地であり、またタイタニック号が建造された造船の町としても有名だ。かつては世界最大の造船業と繊維産業の中心地として栄えたが、産業の衰退とともに町も衰え、失業者が増えていった。さらに第2次大戦後に起こった北アイルランド紛争では、爆弾とスナイパーが町の至る所で住民の命を奪い、町も人々の心も荒廃した。英国国教会とカトリックを合わせると住民の85パーセント以上がクリスチャンといわれるが、伝統的にはクリスチャンの家系であっても、日々キリストと共に歩む信仰生活を送っている人はそう多くはない。
そんなベルファストにおける「希望の証し」が紹介された。2003年から毎年開催されているサッカーの「ホームレス・ワールドカップ」に、ベルファストからも毎年チームを送っているが、8年間ホームレスだったある青年も一員として参加した。彼は国の代表として世界に出て行き、その経験から自らの人生に誇りと意義を見いだすようになった。そして、人生を「自分の好きなように生きるツーリスト(旅行者)」ではなく、「キリストのアンバサダー(大使)」という自覚を持って生きる者へと変えられ、今は地元サッカーチームのリーダーとして若者の指導に当たっているという。
最終日の夜には地元の人々にも会場を開放して伝道コンサートが開かれ、参加者は「世界各地に散らされていっても、その先々でキリストの希望を証しし続けていこう」と祈り、大会は終了した。
次回の世界大会は2022年に香港で、また2年に一度のアジア大会は来年カンボジアで、そして2021年には日本の東京で開催される。
8月11日(土)には、CBMCインターナショナルのジム・ファールストム代表が来日し、東京都内で「信仰とビジネスフィールドにおける証」をテーマに講演会を行う。世界に広がるCBMCの活動事例を基に、どのように各国でリバイバルが起こっているのか、ビジネスフィールドにおいてCBMCがどのような価値を提供しているのかを語る。
講演会の第2部では、日本CBMCの青木理事長が、これまでに自身の信仰をどのように証ししてきたのか、ビジネスでのあらゆる困難をどのように乗り越えて成果を上げ続けているのかについて話す。日程などの詳細は日本CBMCのホームページを。