カトリック系住民とプロテスタント系住民の間で対立が続いていた北アイルランドで、治安維持活動をしていた同駐留英軍が先月31日深夜、38年間にわたった任務を終了した。北アイルランドでは、05年にカトリック過激派のアイルランド共和軍(IRA)が武装闘争の終結宣言をし、今年5月には自治政府が復活。和解の機運が強まる中で、対立の象徴ともいえる駐留軍が活動を停止したことにより、和平に向けての動きが一層加速しそうだ。
英政府は69年、両勢力の武力衝突を鎮圧する目的で軍を派遣。以来先月まで続いた作戦は、英軍史上最も長い作戦となった。72年の最大時には兵力が約2万7人に達し、38年間で約30万人が従事。AFP通信によれば英軍側の死者は763人、負傷者は6千人余りに上った。
英兵約5千人は引き続き駐留するが、これまでの作戦には従事せず、訓練に専念するという。今後、治安の維持は地元警察の手に委ねられることになる。