オリブ山病院(那覇市)を運営する「葦(あし)の会」が1日から、地域医療に貢献する公益性の高い「社会医療法人」となった。これまでの「特定医療法人」からの昇格で、民間医療法人としては最高ランク。沖縄県内では5番目の認定で、全国で初めて離島診療という要件で認定された。
同病院は昨年創立60年を迎えたばかりで、田頭(たがみ)真一理事長は「すべて神様の恵みであり、これまでの60年間の歩みが実を結んだことと、心から御名を賛美します」と感謝の言葉を述べた。
医療法人は本来、非営利法人であるため、一般に行える事業は、病院の運営などの「本来業務」と、介護事業などの「附帯業務」に限られている。しかし、社会医療法人に認定されると、本来業務が税制上の優遇措置を受け非課税となるほか、病院の経営と地域への還元事業に充てることを目的とした「収益業務」も行うことが可能となる。その一方で、公益性を担う組織として、コンプライアンス(法令遵守)やガバナンス(組織統治)において高い要求に応えていく必要もある。厚生労働省によると、1月1日時点で社会医療法人として認定されている医療法人は全国で302法人。
オリブ山病院は10年近くにわたり、離島に住む患者のために毎月訪問診療を行っており、その公益性が大きく評価された。これは、困難にある離島の患者に手を差し伸べたいという、創設者の故田頭政佐(せいさ)氏の遺志を受け継いだ取り組みで、政佐氏の息子で、牧師でもある真一氏は次のように語った。
「この働きを認めていただいたことに感謝すると同時に、この役割を担い続け、さらなる貢献をしていきたいと願っています。社会医療法人としての葦の会のこれからの歩みにおきましても、神様の栄光が現され、地域医療における必要にますます応えていけることを願い、決意を新たにしています。皆様のお祈りとご理解とご協力をこれからもお願い致します」
オリブ山病院は1958年、政佐氏が「たがみ医院」として開設。76年に医療法人葦の会を設立し、92年に特定医療法人として認定された。「わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである」(マタイ25:40)を基本理念の御言葉として掲げ、キリスト教精神に基づいた全人医療を行っている。葦の会としては、同病院のほかに、併設する介護老人保健施設「オリブ園」や、住宅地域にある「オリブ山在宅総合ケアセンター」などを運営しており、多岐にわたる医療・福祉サービスを提供している。