ローマ教皇フランシスコは14日、バチカン(ローマ教皇庁)で世界福音同盟(WEA)の代表団と会談した。WEAは、世界129カ国の6億人余りの福音派信者を代表する組織。WEA総幹事のエフライム・テンデロ監督は、教皇庁キリスト教一致推進評議会(PCPCU)との協力の重要性について述べ、両者は信教の自由のために神学的相違を超えて協力する道を話し合った。
WEA(英語)によると、テンデロ氏は会談で「WEAは平和と公正と義がこの世を支配することを願っており、誰もが適正な生活水準を有し、イエス・キリストが万人の主であると認識されることを望んでいます」と語った。
バチカン放送(英語)によると、7年にわたり対話を重ねてきたWEAとPCPCUは、双方に「大きな神学的相違」があることを認めた上で、共通の目標が必要であるとの認識に達している。
テンデロ氏は、世界中のキリスト教徒が多くの困難に直面する中、必要とされているのはそのような協力だとの認識を示し、「互いの違いや両者を引き離すもの」に注目することではないと述べた。
フィリピン出身のテンデロ氏は、人口の8割がカトリックである母国をエキュメニカルな関係構築における良き手本として例に挙げた。フィリピンでは、人身売買や気候変動対策、政治腐敗との闘い、平和の促進、災害支援などの分野で、カトリック教会と福音派が協力して活動しているという。
WEAの信教の自由大使としてバチカンに派遣されているトーマス・K・ジョンソン牧師は、キリスト教徒への迫害が世界中で増大していることを強調し、ここ3年間が歴史的に見て最悪の状況となっている恐れがあると語った。また、若者に聖書を配布して聖書に親しんでもらうことが必要で、そうすることによって社会正義の問題に取り組まなければならないと述べた。
さらにジョンソン氏は、14日の会談により重大な発表があることは期待できないものの、カトリックと福音派が「双方の協力で開発した教材」を出版することを検討していると述べた。「あらゆる教派のキリスト教徒が公共の場で互いに守り合う必要がある」とジョンソン氏は言う。
教皇フランシスコも就任以来、カトリックと福音派の団結について話し続けており、2015年11月には、PCPCU議長のクルト・コッホ枢機卿に宛てたメッセージの中で次のように述べている。
「世界のさまざまな地域で、殉教を含めたキリストの証しが共通の体験になっており、カトリックや正教会、聖公会、プロテスタント、福音派、ペンテコステ派の信者が同じ体験をしています。この共通の体験は、各教派を分け隔てる相違よりも深く、また力強いのです」
あらゆる教派で殉教者が出ていることは、「私たちが同じ旅をしていることを示す最も大きなしるしなのです」と教皇。「この深遠なる真実は、可視的で最大限の交流に向けたエキュメニカルな旅を、忍耐をもって続けるようにという呼び掛けなのです。私たちは、愛と相互理解においてまだまだ成長する必要があるのです」と言う。
また同年5月には、福音派やカトリック、その他の教派を分裂させているのは悪魔の仕業だとも話している。
「分裂は『偽りの父』であり『不和の父』である悪魔の仕業であり、悪魔は私たちを分裂させたままにしておくために、可能なことをすべてしているのです」
「何か物議を醸すようなことを言っているように感じますし、間違った教えを話しているようにすら感じます。しかし、たとえ相違があっても私たちは1つであり、私たちを迫害しているのは悪魔なのです。今日のキリスト教徒を迫害しているのは悪魔なのです。殉教の血を流しているのも悪魔なのです」