東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)で10日、2016年度春季卒業式・学位授与式が行われた。今年、同大を卒業・修了したのは、神学部28人、大学院博士前期課程9人、同後期課程2人の計39人。2014年に開設された博士後期課程(博士課程)からの修了生は今年が初めてで、同大初となる博士号が授与された。
同大チャペルに卒業生が入場し、TCUの小林高徳学長による開会祈祷で式が始まった。聖書朗読、学園クワイアの合唱賛美に続き、日本長老教会西船橋キリスト教会牧師で日本福音同盟(JEA)理事長の中台孝雄氏がメッセージを取り次いだ。テーマは「広く、深く、そして一生涯」。どんな状況にあっても神と共に歩む人生の幸いを語った。
「主の恵みが旅立つ皆さんの上に豊かにありますように。主ご自身が皆さんと共にいてくださいますように。そして、共にいてくださる主と人生を最後まで歩まれますように」
中台氏は、ピリピ人への手紙4章4~9節中の2つの言葉に注目する。第1は、「神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます」(7節)。この神の平安に守られる秘訣として、「いつも主にあって喜びなさい」(4節)、「寛容な心を、すべての人に知らせなさい」(5節)、「感謝をもってささげる祈りと願い」(6節)という3つのことを挙げた。「生涯にわたって実直に、主にあって喜ぶ生活。キリストの寛容をもって人々に接していく生活。祈りをもって神様にお願いをする生活。それが、神様の平安が私たちを守ってくださる秘訣です」
第2は、「平和の神があなたがたとともにいてくださいます」(9節)。この平和の神が共にいてくださる秘訣は、この箇所で「心を留めなさい」(8節)と言われる全ての良いものに目を向け、心に留めることだ。ただし、良いものはキリスト教会の中だけにあるのではなく、広い世界の中にも存在しており、このことにも目を向ける広い心が大事だと中台氏。
もう1つは、「私から学び、受け、聞き、また見たことを実行しなさい」(9節)とあるように、実行に移すこと。「うまくいかない時もあるかもしれないが、神様のご計画で隠されていることを信じて、大学で学んできた専門的な事柄をさらに深め、社会、教会、職場、家庭の中で実践に移してほしい。その時に、平和の神は私たちと共にいてくださると約束してくださいます」
最後に中台氏は、「平和の神様が一生涯、あなたがたの歩みのうちに臨んでくださり、そのような神様とどのような状況であっても歩み続けていくことができますように」と、これから新しい世界に飛び立つ卒業生・修了生のために祈った。
続いて小林学長から、1人ずつ証書・学位記が手渡された。今回、博士号が授与されたのは2人とも女性。博士課程修了者は、博士の印であるアカデミックガウンを着用し、壇上でフードをかけてもらい、学位記が授与された。
証書・学位記授与の後には、TCU大学院研究科委員長の山口陽一氏が祈りをささげ、キリスト品川教会牧師の吉村和雄氏と日本福音キリスト教会連合青森福音キリスト教会牧師の菅野淳一氏が祝辞を述べた。
式の最後にあいさつに登壇したTCU理事長の廣瀬薫氏は、漫画「ワンピース」の登場人物の1人であるナミが自分で立てた2つの誓い「泣かないこと」「助けを求めないこと」を破るシーンを紹介した。そのことを通して、「『助けて』と言われたら、『当たり前だ』と応えられる仲間同士でいましょう」と呼び掛けた。
TCUは、日本で唯一のプロテスタント福音派の大学で、学生・教職員全員が献身したクリスチャン。教育分野は神学部1つに統合されているが、2008年から国際キリスト教学科を国際キリスト教福祉学科と改称し、国際キリスト教学専攻とキリスト教福祉学専攻が設置された。同学科のこの春の卒業生は9人だが、6人が国家資格である介護福祉士と社会福祉主事任用資格を取得しての卒業だ。神学科の卒業生の中にも、社会福祉主事任用資格を取得する人もいるなど、卒業生・修了生の進路はさまざま。牧師を目指す学生は、このまま大学院に進学する。