気候変動に関する京都議定書が1997年に京都で開かれた「気候変動に関する国連枠組み条約第3回締約国会議」(COP3)で採択されてから18年。2012年でその約束期間が終わった同議定書に代わる新たな枠組みを定めようと、11月30日からパリで第21回締約国会議(COP21)が11日まで開かれている。
気候変動に対する懐疑論も一部ある一方で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の共同議長を務めた英国の著名な気候学者でクリスチャンのジョン・T・ホートン卿は、今年8月に第5版を出した教科書『Global Warming: The Complete Briefing(地球温暖化 完全報告)』(ケンブリッジ大学出版)で、地球温暖化に関する新しい科学的知見を論じるとともに、地球温暖化の影響に対する「行動の意志が依然として欠如している」などと指摘している。
2013年に『In the Eye of the Storm : The Autobiography Of Sir John Houghton(嵐の目の中で)』(ジョン・ホートン卿の自伝、Lion Books刊)を表したホートン卿は、自らが設立に携わった「環境と科学そしてキリスト教を結ぶ」英国の教育団体「ジョン・レイ・イニシアチブ」で会長を務め、キリスト教の観点から気候変動問題に対する行動の道義的な必要性を訴え続けている。
気候変動問題の国連会議で声を上げる人たち
国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の公式サイトにある名簿に非政府組織(NGO)として登録されている参加団体のうち、教会やキリスト教団体は20近くに上る。このうち、世界教会協議会(WCC)や世界YMCAといったキリスト教の世界組織、教派ではカナダ合同教会、米ブレザレン教会や米合同メソジスト教会などの教会と社会理事会がこれに含まれている。
気候変動の影響による被災の現場を知るキリスト教緊急支援団体では、ACTアライアンス、カリタス・インターナショナル(CI)、ワールドビジョン・インターナショナル(WVI)、英国のクリスチャン・エイドやティアファンド、フィンランドのフィン・チャーチエイド基金(FCA)が代表者たちを派遣してオブザーバーの非政府組織として名を連ねている。
また、キリスト教主義大学では京都の同志社大学や米国のザビエル大学・聖ヨハネ大学から参加者の名前が出ているほか、カトリック国際関係研究所(CIIR)、その他のキリスト教団体では米国の福音派環境ネットワーク(EEN)、ドイツの伝道者職業訓練学校、ガーナの路上生活児と孤児の社会復帰信仰協会、英国のカトリック医療宣教師会(SCMM)、宗教間組織では世界宗教者平和会議(WCRP)が代表者を派遣して名を連ねている。
気候変動問題に関する国際交渉が始まった1980年代の終わり頃から継続して、代表団をこの問題に関する国連会議に派遣してきたWCCは、11月15日の常議員会で、COP21に至るまでの声明文を発表し、地球温暖化を2度未満に保つべく、同会議が気候について法的拘束力のある普遍的な合意を達成するようにという要望を表明した。
26日には、WCCやルーテル世界連盟(LWF)、およびそれらの加盟教会などが作る国際的な緊急支援・政策提言団体「ACTアライアンス」が、COP21の成果は世界の未来にとって死活的に重要であり、増大しつつある気候変動の悪影響に適応しようと脆弱な人たちが日常的に自らの闘いを続けているとして、「公平かつ拘束力のある野心的な合意に達するべく、最大限の力を尽くすよう」各国政府に強く求めた。
COP21でWCC代表団を率いる同総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師・博士は、COP21開催日の前日である29日、パリのCOP21会場からWCCの公式サイトで発表した待降節のメッセージの中で、「変革に向けた契機が到来し、それは私たちが理解している以上に力強いかもしれない」と語り、この会議における「希望のしるし」を伝えた。
COP21の開会討論に出席したトヴェイト総幹事は30日、COP21の開会における世界の指導者たちの演説に共通した希望のメッセージがあるとして、「今は真実の時であり、何かがおかしいということ、そして変わる必要があるということを認める時だ」と語った。
化石燃料に対する投資をやめたWCCと加盟教会・関連団体
WCCとその関連団体の一部は近年、二酸化炭素の排出源となる化石燃料に対する投資をしないようにと、何十億ドルものお金を化石燃料産業への投資から引き揚げる活動を行ってきた。WCCは昨年7月の中央委員会で、化石燃料への投資をしないことを決定。この時、WCCは投資のための倫理的指針として、未来の世代の持続的な環境に対する関心を含めていた。WCCが投資しない産業分野には、とりわけ、兵器や核エネルギー、そして遺伝子組み換え産業がある。
この中央委員会による決定に先立ち、WCCの加盟教会のうち、米キリスト合同教会が一昨年、アオテアロア・ニュージーランドおよびポリネシア聖公会、スウェーデン教会、オーストラリア合同教会が昨年、化石燃料への投資をしないと既に決めていた。今年は、英国国教会、米国聖公会、英国メソジスト教会、米合同メソジスト教会、スコットランド合同改革派教会、ルーテル世界連盟、カナダ合同教会が同様に決定している。また、アオテアロア・ニュージーランド長老教会も昨年10月の総会で、同教会の財務委員会に対し、化石燃料への投資をやめるよう要求することに多数決で合意した。
気候のための巡礼と、世界中から178万528人分の署名
キリスト教や他の宗教者を含む「民衆の巡礼(The People’s Pilgrimage)」という国際的な運動が、インターネットを通じて、2010年8月19日から今年の12月7日まで南北アメリカやアジア、ヨーロッパ、オセアニアなどで繰り広げられている。
この運動では、「私たちは100%クリーンで気候変動に対して安全な未来がほしい」という声をCOP21に集まる世界の指導者たちに伝えて行動を要求しようと、インターネット上で署名運動を行ってきた。この運動の参加者の中には、COP21に向けてローマからパリへ巡礼の旅を行った人たちも多数おり、パリ同時多発テロの後には、フランスのエキュメニカルな修道会であるテゼ共同体にも立ち寄ったという。
国連気候変動枠組み条約のクリスティアナ・フィゲレス事務局長は11月30日、この運動が世界中から集めた178万528人分の署名を、ACTアライアンスの地球気候大使である南部アフリカ聖公会のタボ・マクゴバ・ケープタウン大主教から受け取り、気候に関する正義に向けた巡礼の「一歩一歩」に感謝の意を表した。
ACTアライアンスも11月28日、公式サイトに掲載された記者発表資料で、「180万人近い人たちが気候変動に関する行動を要求」と題し、「世界中の合計178万528人の人々が、COP21という気候サミットの政治指導者たちに対し、貧しい国々が自国の変動する気候に適応するのを助けるような、地球温暖化を抑えて強力かつ公平な政策を生み出すために、決定的な行動を取るよう強く求める、信仰に基づいた要請書に署名した」と伝えた。
同団体は30日、「パリの気候会議で前向きな開幕 野心的な合意への希望を引き起こす」という見出しの記事を公式サイトに掲載し、COP21の合意に向けた気運の高まりを伝えた。
また、ルーテル世界連盟(LWF)の広報部門であるルーテル世界情報(LWI)も29日、「200万人近い信仰者がCOP21の前日に要請」との見出しの記事で、「11月28日土曜日は、パリのCOP21におけるエキュメニカルおよび宗教間の協力の始まりを示すものとなった」と報じ、「気候変動に関する正義のためにACTナウ(ACT Now for Climate Justice、ACTアライアンスの一部)、グローバル・カトリック気候運動、世界宗教者平和会議、『私たちの声(Our Voices)』(インターネットで信仰を気候変動に関する交渉に伝えようという宗教者の運動)による4つの要請書が、気候変動に関する正義を求める合計約180万人分の署名とともに、パリで歓喜の涙と足の躍動を起こさせた」と伝えた。
LWIは26日、「気候変動はルーテル共同体にとって抽象的な現実ではない」との見出しの記事をLWFの公式サイトに掲載し、「青年と総幹事がCOP21でLWFを先導する」などと伝えた。
「気候のために断食を」運動
20人を超える宗教指導者たちが、青年や政治家・市民運動の代表者らと共に座って、COP21で、ナイフとフォークはあっても食べ物がないというユニークな”昼食”のためにテーブルについた。これは気候変動における正義に対する飢えを表したもので、パリで12月1日に「気候のために断食を」という企画の一環として行われたもの。
この断食は、2013年11月に未曾有の規模でフィリピンに被害をもたらした台風30号を受けて、同国政府代表団(当時)のイェブ・サノ氏が、同月にワルシャワで行われた国連の気候変動会議で、被災者と連帯すべく断食することを涙ながらに表明したことがきっかけだ。
これにLWF青年部などが応答して断食を始め、今年も教会関係者を含む何千人もの人たちがCOP21に向けて「気候のために断食を(Fast for the Climate)」運動に参加し、公式サイトなどでさらに多くの参加を呼び掛けている。
この運動には、サノ氏やWCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事、聖公会のローワン・ウィリアムズ前カンタベリー大主教、LWFのマルティン・ユンゲ総幹事、ACTアライアンスのジョン・ンドゥナ総幹事、カトリックの平和運動団体パックス・クリスティ・フランスのマルク・ステンジェール司教なども加わっている。
「私たちが気候のために断食をするのは、世界中の、そしてあらゆる宗教や信条を持つ、社会各層の人々が、気候変動問題に対する行動を期待しているというメッセージを各国政府に送るためです。私たちは安全な気候の未来に向けた公正な移行を要求します」と、同運動は説明している。
そのために、この運動は次の三つのことを求めている。
- 世界の指導者たちが、2015年の気候会議を、化石燃料(の燃焼による温室効果ガスの)排出を完全に漸次除去し、2050年までに100パーセント再生可能エネルギーを段階的に導入する道へと世界を向かわせ、全ての人々が再生可能エネルギーを利用できるようにするための機会として用いること。
- 世界中の人々が自らの消費パターンを考え直し、とりわけ食べ物との関係を熟慮し意識すること。
- 気候の危機に対してより脆弱でない国々の指導者たちが、気候(変動)に対して世界で最も脆弱な人々に対する責任を果たすための措置を本気で行うこと。
WCCによると、現在は環境運動家となったサノ氏も、新しい地球規模の気候変動に関する合意を要求するローマからパリまでの1500キロの巡礼の一環として、11月3日にスイス国境を渡るだろうと伝えられていた。12月1日には、ツイッターでサノ氏が、気候変動の影響を受けている人たちと連帯してCOP21に参加していることが写真入りで伝えられた。
LWF青年部は1日、ツイッターでCOP21の交渉のテーブルに載せる「気候のための断食とごちそう」のメニューとして「前菜は『勇気』、メインコースは『公平さと平等』、デザートは『気候変動に関する正義』。うまい!」とつぶやいた。
この断食運動に参加している米国のフランシスコ会の草の根団体「フランシスカン・アクション・ネットワーク」やグローバル・カトリック気候運動のメンバーは、教皇フランシスコが訪米した9月14日から10日間、気候変動における正義についての意識を高めるための「霊的な方法」として、実際に断食を行ったという。
ヨーロッパ教会協議会(CEC)で環境問題を担当する部門「ヨーロッパ・キリスト教環境ネットワーク(ECEN)」も、COP21とそれに向けてパリへ巡礼する人たちのために、そして気候変動に関する正義のために祈り、断食するよう呼び掛けている。
たくさんの靴を並べるデモにローマ教皇の靴も参加
COP21を前に、ローマ教皇フランシスコの黒い靴一足が、パリで並べられた他の何千足もの靴に加えられた。その靴の後ろには、6月に環境問題について回心を呼び掛けた同教皇の回勅「ラウダート・シ」と書かれた名札が立てられた。
靴を並べるこのデモは、世界規模のオンライン・コミュニティー「AVAAZ」が200万人規模の大行進をパリで予定していたが、市民の安全を確保できないとのフランス政府の判断により中止せざるを得なくなったことから、同団体が企画した。COP21に画期的な対策を求め立ち上がる市民の声を、出席国の首脳や政府代表者に伝えようと、28と29の両日に78万人以上の人たちが参加した「グローバル・クライメート・マーチ」(日本ではアースパレード)の一環として行われた。
教皇フランシスコは、11月にケニアを訪問した際にも、「ラウダート・シ」から頻繁に引用しつつ、COP21を前にして、「この国際的な文脈の中で、私たちは環境を改善するか破壊するかという、無視できない選択を迫られている」と語っていた。
バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿は、COP21で11月30日、「明確な倫理的観点」を持つ合意の必要性を強調した。
バチカンは10月26日、世界中の枢機卿や司教らが、COP21の交渉担当者らに対し、「公平で法的拘束力があり、かつ真に変革的な、気候に関する合意」の承認に向けて働くよう求めるアピール文を発表していた。
一方、フランスのカトリック教会は、COP21に関するページを公式サイトに設け、神の創られた世界を保護するようキリスト教徒に呼び掛けるとともに、より環境に優しい生活様式を取り入れた「幸福な節度に向けた回心の道」へと招いている。「この新しい道で、教会は未来への希望をもたらす」と述べている。
同教会は、気候変動問題の交渉担当者たちのための祈祷文として、南部アフリカ聖公会のデズモンド・ツツ名誉大主教による昨年の祈祷文のうち、国連会議の開催地をCOP20の「リマ」からCOP21の「パリ」と書き換えた次のような文章を、フランス語で公式サイトに掲載している。
「創造主なる神よ、
あなたは私たちに、あなたの地球を保つ者となるようにと、私たちを招かれました。
貪欲を通じて、私たちは命の網を破壊する経済を作り上げてしまいました。
私たちは、私たちの気候を変えて絶望の中に溺れてしまいました。
正義の海原を流れさせてください。
私たちの母なる地球の命を持続させ新しくすることを、私たちが学ぶことができますように。
私たちの指導者たちのために、母なる地球の守護者たちのために祈ります。
彼らがパリで気候に関する交渉のために会議をするにあたって。
彼らが知恵と公平さをもって交渉をすることができますように。
私たちの子どもたちとその子孫のために、彼らが憐れみと勇気を持って行動し、正義の道において私たちを導くことができますように。
アーメン」
フランスのカトリック教会の青年たちは11月25日、ブログで「COP21って私たちに関係あるの?」と題する文章を掲載。「フランスのカトリック教会はそれに参加していて、最も脆弱な人たちと連帯して、より質素な生き方、被造物への畏敬の念、そして人間の尊厳へと移るよう、エコロジカルな回心を呼び掛けている」としている。26日から28日には5000人規模の青年会議を開き、12月5日をクリスチャン気候青年の日として集会を企画、フランスにある全教区の若者たちに参加を呼び掛けている。
27日にはパリの聖マリア教会で、ドイツやスカンジナビア諸国・オランダ・ベルギー・英国・フィリピン・東アフリカから来た気候のための巡礼者たちを歓迎するイベントが開かれた。また、28日にはパリ北部の郊外にあるサン=ドニ大聖堂で宗教者の集いが行われた。12月3日には、パリのノートルダム大聖堂で世界各地からクリスチャンが集まり、エキュメニカルな祝祭が行われる予定だ。
一方、世界YMCA同盟も英文ブログ「Y-ACTION」で25日、気候変動に関する正義を要求するためにACTアライアンスに参加するよう呼び掛けるとともに、26日と27日、COP21に出席しているYMCAの青年たちの声を写真とともに伝えた。19日には、「私たちは黙っていてはいけない。気候のためのマーチ(行進)は世界中で起こっている」とする記事を掲載した。
東方正教会の全地総主教バルソロメオス1世も11月4日、英国のオックスフォード大学にある弁論団体「オックスフォード・ユニオン」で「被造世界への気遣いとエコロジカルな正義」と題して演説した。同総主教はその中で、COP21で「変革と正義のために私たちは可能な限り強い呼び掛けをしなければならない」と述べるとともに、「これは私たちの倫理的かつ名誉ある義務だ。これは全世界に対する私たちの約束と希望の言葉だ」などと述べた。
カナダ合同教会は公式サイトで24日、COP21に参加している3人の代表団を写真入りで紹介するとともに、COP21は「気候変動政策と地球の未来にとって極めて重要な転換点となるかもしれない。世界の指導者たちは、全ての国々に適用可能な、地球温暖化を2度未満に抑えることを目的とした、気候に関する新しい国際合意を完成させるために働くことになる」と述べている。
同教会の3人の代表団については、「世界教会協議会やACTアライアンス、それからカナダの協力団体である気候行動ネットワークなどの声を増幅させるだろう。出席している政府代表者たちに対し、COP21における彼らのリーダーシップには、被造世界と人類共同体全体に益をもたらす潜在的な可能性があるのだと伝えたい」と述べている。
米合同メソジスト教会の教会と社会理事会で経済・環境正義担当主事を務めるジョン・ヒル氏は25日、同理事会のサイトで、「被造世界の豊かさに感謝する 地球ともっとつながる」と題する文章を掲載し、「私たちの多くは被造世界から切り離されている」「合同メソジストはその切り離されたものに橋を架ける」として、米国の感謝祭にあたって、「私が国連の気候会議へと旅をするにあたって、被造世界を大切にして私たちの子孫が安全で豊かな世界を確実に受け継ぐことができるようにするあなたの務めに感謝する」と述べている。
また、世界福音同盟(WEA)の「被造物保護特別委員会」(CCTF)は、COP21の参加者名簿に名前がないものの、12月5日にパリの聖ミカエル教会で、「気候変動に対するクリスチャンの応答」と題する会議を開くとしている。この会議には、NGOや神学者などの学者ら10人の国際的な発題者が、気候変動問題に対する福音派クリスチャンの応答について議論するという。WEAのエフライム・テンデロ総主事もこの会議に出席する予定。他に、キリスト教自然保護団体「ア・ロシャ・インターナショナル」(事務局=ロンドン)、ローザンヌ運動の一部である「ローザンヌ被造物保護・ネットワーク」(LCCN)、フランス福音同盟、フランスの福音派プロテスタントNGOである「相互連携奉仕(SEL)」やデフィ・ミシェ(ミカ・チャレンジ)がこの会議の企画に加わっている。
カトリックの国際的な援助・福祉団体であるカリタス・インターナショナル(CI)の政策提言担当責任者のマルティナ・リーブシュ氏は、バチカン放送局に対し、パリでの合意達成が緊急に必要であることや、気候変動の問題についての教皇フランシスコの声について語った。
それによるとリーブシュ氏は、「それが緊急であるのは、気候変動の破滅的な影響、それもとりわけ最も貧しく脆弱な人たちに対する破滅的な影響を目の当たりにしているからであり、彼らは地球温暖化、温室効果ガスの排出をほとんど助長していない人たちであることから、それは正義に関することだ」と述べた。
リーブシュ氏は気候変動の問題に関する教皇フランシスコの声、とりわけ「ラウダート・シ」について述べ、「それは民衆と指導者たちの耳に届くだろう。気候変動に取り組むために本当に本質的なことを受け止めてもらえるように」との希望を語った。
CIは26日、「パリの気候サミット:人類が一致団結する機会」と題する記者発表資料を公式サイトに掲載し、「カリタスとCIDSE(カトリックの開発機関の連合組織)は、パリでの国連気候サミット(COP21)が、危険な気候変動の緊急性に応答するだけでなく、誰一人として置き去りにすることなく、人類の未来のために一致団結した展望を創るための一里塚として役に立つ必要があると述べている」と伝えた。
関西学院大学(兵庫県西宮市)は10月19日、COP21の「パリ合意」に向け、オンラインで関西学院とスイスを結ぶセミナー「Climate Justice(気候正義)とキリスト教」を開き、ACTアライアンスの気候変動に関する正義担当幹事で「デンマーク教会援助」上級政策提言顧問のマティアス・ソーデルベルグ氏による講演を聞いた後で意見交換を行った。
英国のキリスト教援助・政策提言団体「クリスチャン・エイド」は11月30日、世界で最も脆弱な20カ国がつくる「気候脆弱フォーラム」による宣言文を歓迎した。これは、COP21に出席している世界の指導者たちに、地球の気温の上昇を平均で1・5度に抑えるべく働くよう訴えるもの。
クリスチャン・エイドは27日、「各国が気候のカードで駆け引きをするのはパリのサミット(COP21)が最後の機会だ」とし、「COP21での合意では地球の気温上昇が平均で2・7度となり、それ自体では危険な地球温暖化を防ぐことにはならないだろう」と警告していた。
宗教者の発言や行動
世界宗教者平和会議(WCRP)国際委員会の執行委員会は9月20日、国連と加盟国、宗教者や善意ある全ての人々に対し、「気候変動という課題に対する緊急かつ持続的な対応を呼び掛ける」声明文を発表し、「その達成には、科学的・経済的・政治的、そして何よりも道義的および宗教的な次元についての深い理解に根ざした、集中的な行動が必要となる」などと述べた。そして、「諸宗教が持つ真理や善、真実の美しさによって、必要な行動を共に行うための強さを見いだすことができるという確信ある希望」を述べた。
また、「COP21 Religions」という名の英語とフランス語によるウェブサイトでは、パリでCOP21の開催期間中まで開かれる気候変動に関する宗教者のイベント情報が多数掲載されている。それによると、12月5日にはパリのテゼ共同体による祈りの集い、9日には聖メリー教会で「脆弱性と気候」に関する会議が予定されている。