「北極は気候変動による不正義の震源地だ」と、世界教会協議会(WCC)北米議長でカナダ聖公会のマーク・マクドナルド主教が語った。WCCが8日、公式サイトで伝えた。
これは、スウェーデン国教会とカナダ教会協議会(CCC)によって企画され、5日から8日までスウェーデン北部のストールフォルセンで、「北極のいのちの未来―気候変動の影響:先住民族と宗教の視点」をテーマに開かれた会議での発言。会議には30人以上が参加し、気候変動を視野に入れ、スウェーデンとカナダ各国に住む先住民族であるサーミやイヌイットの日常生活の現実が、さまざまな発題者によって分かち合われた。
「カイロス先住権サークル」のデボラ・タゴルナック氏は、「北極の気候変動に関する科学的データとの関連で、気候の顔に人間の顔」を位置付けることの重要さを強調した。
CCC事務局次長でこの会議の共催者の一人でもあるピーター・ノートブーム氏は、この会議は「とりわけ先住民族の問題を取り上げている、気候変動に関する正義と貧困の終結に関するカナダの信仰共同体の声明を、さらに深めるものである」と語った。
会議には、カナダとスウェーデンに住む先住民のほか、両国に加え、ノルウェー、フィンランド、米国(アラスカ)から、主教や牧師、神学者、エキュメニカル組織の職員らが参加した。WCCと欧州教会協議会(CEC)からも代表者が参加した。
スウェーデン国教会の持続可能な開発担当職員で、会議の共催者の一人であるヘンリク・グレープ牧師は、「この会議で私たちが始めるプロセスが、気候変動に関する世界のエキュメニカルな活動を高めることになるように望む」と述べた。
全体会合では、アイデンティティーや権利と和解、気候科学と欧州の気候政治、11月末から12月にかけてフランス・パリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて、気候と先住民族、そして北極の神学と霊性について扱われた。作業部会ではさらに、メッセージの作成や将来の方向性について話し合われ、神学や青年、音楽などの分野でも話が展開した。
WCCの被造世界への配慮と気候に関する正義プログラム幹部職員のグイレルモ・ケルバー博士は、会議の公開討論会で肯定的に次のように述べた。
「インドネシアのドゥタ・ワチャナ大学で8月にWCCが主催した『先住民族のエコロジカルな霊性とキリスト教の信仰に関する会議』で私たちが見たように、この会議が、世界の他の地域における気候変動に対応する上で、先住民族と教会がやっていることにつなげる必要があるプロセスを開始したのだと私は望みたい」
この会議の成果は、WCC加盟教会に報告されるほか、COP21でも伝えられる予定。