カナダの真実和解委員会による要約報告書の発表を受けて、同国の世界教会協議会(WCC)加盟教会は、先住民族に対する虐待を認め、そのようなことが二度と起こらないようにしようと、それが痛みを伴う巡礼になることを認めつつ、その巡礼を始めようとしている。WCCが、米国のフリージャーナリストのスーザン・キム氏の記事として、11日に公式サイトで伝えた。
6750件の面接を含む、6年間にわたる調査をもとに出されたこの報告書には、先住民族の子どもたちが、家庭から教会が運営し政府の支援を受けていた寄宿学校へ強制移動させられ、そこでその多くの子どもたちが虐待されていたことが、詳しく記されている。これらの学校は1883年に運営を開始し、最後の1校が1998年に閉鎖された。
真実和解委員会は、少なくとも3201人の生徒がこれらの学校に出席している間に死亡したとし、その多くが虐待や育児放棄によるものであったと報告している。
教会が過去にこの虐待に加担していたことを認めることは、それが起きるのを容認した政策を変える行動を起こす責任を伴うと、WCCの北米議長でカナダ聖公会全国先住民族主教のマーク・マクドナルド氏は述べた。
「植民地化に対する教会の関わりは、とりわけ西洋において、教会が持ついくつかの欠陥を明らかにしており、また私たちの教えと自らの実践が持ついくつかの歪みをも明らかにしている」と、マクドナルド主教は言い、「和解は、常に私たちの在り方の中心であり続けてきたが、しかしそのメッセージは植民地化の中で失われてしまった」と指摘した。
マクドナルド主教はまた、和解は福音伝道の中心であるべきだと付け加えた。「それを見失うとき、私たちは改宗主義者になってしまう。和解とは、キリストにある私たちの宇宙のために、神が持っておられるご計画に向けた霊的な運動に関するものだ」
カナダのWCC加盟教会は同国政府に対し、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に署名するよう強く要求している。真実和解委員会は、その報告書の中で94件の勧告をしており、その中には先住民族の子どもたちの児童福祉制度を徹底的に見直すことが含まれている。
どうやって変えるのか?
カナダでエキュメニカルな正義に関する取り組みをしているカイロス・カナダの事務局長であるジェニファー・ヘンリー氏は、差別と虐待のシステムを変えることには、過去を新しい形で理解することが含まれると言う。
「私たちには、この国がどのようにして建国されたのか、そしてそれがどのようにして現在私たちが直面している状況や困難のいくつかにつながっているのか、についての新たな理解が必要だ。課題は、先住民族とそれ以外の民族との間の公平さにおける格差に、意味ある形で取り組もうとすることだ。それは新しい未来についてただ語るだけであってはならない。それは和解についてただ語るだけであってはならない。それは意義深い行動を通じたものでなければならないのだ」
カナダのWCC加盟教会は、エキュメニカルな対話が和解についての理解を豊かにする助けとなり、行動のための責任に関する措置を加えることになるだろう、という希望を表明した。カナダ合同教会の先住民族ミニストリーズ・サークルのマギー・マクレオド牧師は、「私たちは、真実和解委員会の行動への呼び掛けを制定するよう、カナダ政府に提唱する上で、エキュメニカルな協力者たちとの協働を歓迎するだろう」と語った。
WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師は、和解は個人の考え方を変えるだけではなく、先住民族に差別的な政策や法律の系統的かつ構造的な変革に取り組むことでもあると述べた。「和解とは、相互尊重の関係が、個人や共同体、そして構造的なレベルで形成されなければならないということだ」とトヴェイト総幹事は指摘。「過去の道義的な傷を繕うことで、私たちは先住民族との関係を修復するだけではなく、これらの系統的な悪に加わることによって教会が自らにもたらした重大な結果に取り組むよう、招かれている」と語った。
世界は今や、15万人の先住民族の一部である、親元から連れていかれて寄宿学校に入学させられたメティ(欧州人と北米先住民族との混血児)やイヌイット(カナダ北部に住む先住民族の一つ)の子どもたちの体験談を聞くことができる。
WCC加盟教会関係担当プログラム幹部でカナダ聖公会の会員であるナターシャ・クルカッチ氏は、これらの体験談を直接聞くことで、寄宿学校制度における子どもたちの虐待という重大な結果に関する視点は変わると言う。
「性的虐待や心身の虐待が生涯もたらす影響についての証言を、それらに耐えた生存者たちから直接聞くとき、それらの体験談に含まれている苦痛は、意味ある行動へと変化し、つながるはずだ。生存者たちの声は、カナダ社会と教会を新しい現実のための希望へと導くものとなるに違いない」