【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は5月6日、聖職者による児童への性的虐待問題で、2004年以来、約3400件の事件を認定、聖職者848人の資格を剥奪したことを明らかにした。
ジュネーブで開かれた国連の拷問禁止委員会の調査会で公表したもので、このほか2572人が何らかの処分を受けたという。
児童虐待問題は、欧米などで09年前後に相次いで明らかになった。被害者団体は、バチカンが問題を隠してきたと批判する。
国連子どもの権利委員会はこの2月5日、バチカンの対応が不十分だと非難する報告書を発表した。報告書によれば被害に遭った児童は全世界で「数万人」に上るという。バチカンは子どもの権利条約の締約国。
報告書のなかで同委員会は、バチカンが犯罪の規模の大きさを認識していないことや、子どもへの性的虐待や子どもの保護への対応に必要な措置を採らないこと、加害者を別の教区に異動させるなどして事件の隠ぺいを図ったことなどを指摘、「子どもにとっての最善よりも教会の名声と加害者の保護を優先した」と非難した。
バチカンは、2011〜12年に児童への性的虐待が原因で400人近い聖職者が自主的に聖職を放棄したり、解任されたりしたことを認めた、と今年1月報じられたが、今回発表された資格剥奪聖職者数はその2倍以上になっている。