【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は16日、カトリック教会聖職者による未成年者への性的虐待を抑止するための取り組みついて、スイス・ジュネーブで開かれた国連・子どもの権利委員会に使節団を派遣、6時間に及ぶ質疑に答えた。
バチカン使節団の、元公益保護官チャールズ・シクルナ氏(マルタ大司教区補佐司教)は、何をなすべきかをカトリック教会が理解していると主張した。AFP通信によると、「特定の事案について、今とは違った対応が必要なことは理解している」などと述べた。
これに対しサラ・オビエド委員は、使節団に「あなた方(バチカン)は実行に移す必要がある。われわれは具体的な行動を目にする必要がある」と述べた。
国連が1989年に採択した子どものための権利条約締約国は、規則が遵守されているかどうかを示した報告書を定期的に提出することが求められている。
報告書提出に同意しているバチカンが同委員会に最初に使節団を派遣したのは、同教会の聖職者の児童虐待問題が明るみに出る前の1995年で、16日の派遣は2回目。
バチカンが提出した報告書と同日の質疑応答に基づき、同委員会は2月5日までに勧告を行う予定。勧告内容は法的義務ではないが、道義的責任が問われることになる。
英国に拠点を置く子どもの権利国際ネットワークのベロニカ・イエーツ代表は、AFP通信の取材に対し、「国連からのメッセージは明白。『あなた方(バチカン)は規則を守っていない』『責務を果たそうという意欲がない』『否定し話をそらしている』だ。人権を促進する国際機関がこう言ったのはこれが初めてだ」と述べた。