前ローマ教皇のベネディクト16世が、2011年から2012年にかけて、カトリック教会の聖職者による児童への性的虐待問題を受けて、384人の聖職者を解任していたことがわかった。AP通信が入手したバチカンの内部文書で分かった。
バチカンのフィデリコ・ロンバルディ広報局長は、AFP通信に対して、解任された聖職者の内4分の3が2011年に、4分の1が2012年に解任されていたことを明かした。AFP通信によると、解任された聖職者の内、一部は懲戒手続きの結果解任されたが、残りは自ら願い出て教会を去ったという。
国連の子どもの権利委員会でも、カトリックの聖職者による性的虐待問題が取り上げられ、批判の矛先がバチカンに向けられた。16日にスイス・ジュネーブで開催された同委員会で、バチカンの代表団らは、それぞれの聖職者はバチカンの役人ではなく、各国の市民でありその国の管轄にあると述べ、世界各地のカトリック教会に対するバチカンの影響力の限界などを主張。しかし、被害者団代側は、性的虐待を隠蔽(いんぺい)した聖職者の処罰を求め、同委員会はバチカンに対して勧告を出す予定だ。
バチカンは、国連の加盟国ではないが、オブザーバーという立場。しかし、子どもの権利条約は締結しており、今回の勧告は法的拘束力はないものの、聖職者による性的虐待への対応をバチカンにより強く求めるものとなる。