世界のさまざまな地域で、何千人もの人々が徒歩または自転車で、「気候正義(climate justice)」の巡礼を始めようと計画している。世界教会協議会(WCC)が23日に公式サイトで伝えた。WCCは、20年以上にわたって神の造られた世界を大切にすべく、気候変動の被害を受けている人たちと、それを引き起こしている人たちの間に、正義が行われるよう求めてきた。
これらの信心深い巡礼者たちは、自らの信仰に根ざし、今年末にパリで開かれる予定の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で気候に関する法的拘束力のある普遍的な合意を生み出すよう、世界の指導者たちに強く求めつつ、気候変動の影響を受けている人たちとの連帯を表したいとしている。
これらの巡礼者たちは、そのほとんどが欧州とアフリカの出身だが、WCCのメンバーを代表するキリスト教団体によって動員されている。ある人たちは自らの旅をパリで終え、今年11月30日から12月11日まで開かれる予定のCOP21で、信仰に基づいて行動する他の人たちと声を合わせるという。
「パリは私たちの気候正義の巡礼における一里塚だ」と、WCC被造世界への配慮と気候正義プログラム部長のグイレルモ・ケルバー博士は述べた。「だが、パリは目的地ではない。気候に関する対話に道義的な羅針盤をもたらすよう期待されている信仰者として、私たちは2016年とそれ以降のための方策を立てる必要がある」と言う。
ケルバー博士は、エキュメニカル組織のためにスイス・ジュネーブで22日に開かれたCOP21準備会議で発言していた。「正義と平和の巡礼」という概念は、WCC第10回総会(2013年)で推進された展望であり、気候正義はこの展望の重要な要素である。
コンスタンディヌーポリ総主教バルソロメオス1世や、ローマ・カトリック教会の教皇フランシスコといった宗教指導者たちによる気候正義の呼び掛けに従い、WCCはパリで公平かつ野心的で法的拘束力のある条約を要求しようと、宗教界からの力強い声をもたらすことを計画していると、ケルバー博士は語った。
アフリカでは、気候変動の影響について意識を高めるべく、「気候正義の巡礼」が、徒歩や自転車で国境を越えて行なわれようと計画されている。WCCの協力団体であるACTアライアンスのパトリシア・アクロ氏は、気候正義のためにアフリカに焦点を当てて、COP21の頃に実行する自らの団体の運動についての情報を伝えた。アクロ氏は、とりわけ南アフリカとウガンダそしてブルンジの国境を越えた後、これらの巡礼者たちの最終目的地はナイロビになるだろうと語った。
この運動への賛同が期待されている著名人には、デズモンド・ツツ大主教やケニアのウフル・ケニヤッタ大統領らがおり、その他にもスポーツや文化、音楽の分野の人たちもいる。
「COP21への巡礼は、人々と地球のための、正義と平和の巡礼の一つだ」と、「気候正義のために今こそ行動を(Act Now for Climate Justice)」運動のために活動しているイザヤ・トロイティッチ氏は語った。「信仰者として私たちはパリで声を一つに合わせて発言し、気候変動の影響を受けている人たちとの連帯を示すことを望んでいる」と、トロイティッチさんは語った。
ドイツのキリスト教開発救援団体である「ブレッド・フォー・ザ・ワールド」のトマス・ヒルシュ氏は、信仰者として「私たちは気候正義を求める私たちの取り組みと願いを通じて、COP21でそれらを聞いてもらえるように、自らの多様性の中で一致団結している」と述べた。教会やエキュメニカル組織、そしてその信仰のパートナーたちからの発案を、ヒルシュ氏は「動機付け」と呼んでいる。しかし、「もしCOP21が実現できなければ、これらの取り組みの勢いは下降しかねない」とヒルシュ氏は語った。
ジュネーブで22日に開かれたCOP21準備会議に参加した組織は次の通り。
ACTアライアンス、欧州教会協議会、ノルウェー教会救援、MISEREOR(ミゼリオ)、緑の巡礼ネットワーク、ブレッド・フォー・ザ・ワールド、ルーテル世界連盟(LWF)、クリスチャンエイド、スクール・カトリック、CIDSE(開発と連帯のための国際協力)、CCFD-Terre Solidaire。