ニュージーランドの主要都市・オークランドで行われた研究集会で、オーストラリアとニュージーランドにある太平洋教会協議会(PCC)と世界教会協議会(WCC)の加盟教会は、9月に太平洋島嶼(とうしょ)開発フォーラムが地球上の平均気温上昇を1・5度に抑えることなどを求めて採択したスバ宣言と、同月に太平洋諸島フォーラムが採択した気候変動に関する同フォーラムの指導者宣言、そして気候変動で移住を余儀なくされつつある島民のために国際社会と教会の行動を強く求めた2009年のモアナ宣言を支持すると述べた。PCC事務局が12日にフェイスブックで伝えた。
この集会の指導者たちは、地球上の平均気温上昇が2度では、太平洋諸国を海面上昇から守ることにはならないと述べた。また、気候に関する正義のための優先課題一覧についても合意した。これを11月末からパリで行われる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、自らの代表者たちによって伝えたいとしている。
優先課題一覧には、次のものが含まれている。
- 気候変動によって立ち退きを余儀なくされた住民の再定住や移転のための条項。
- 気候変動のために自国の国境を越えて逃げることを余儀なくされた人たちの権利を守るための、新しい条約ないしメカニズムの確立。
- 地球規模の相互依存や、立ち退きを余儀なくされた住民、未来の世代の暮らし、地球のための責任、公共財を考慮し、脱炭素経済への移行を扱う責任の枠組み。
- 人々や社会、暮らしに対する重大な災難や苦しみと、太平洋小島嶼発展途上諸国の生き残りに対する実存的な脅威の認知。
これらの指導者たちは、気候変動によって太平洋諸国の住民が立ち退きを余儀なくされているとの認識の再確認とともに、国連の世界人権宣言とその後の諸条約に盛り込まれた、あらゆる範囲の権利を活性化するための対応を求めている。また、気候に関する融資について検討する、地域的な特別委員会の設置を求めるとともに、食の安全保障や健康、水、衛生、農業、森林、漁業における気候変動への適応策について支援を求めた。
しかし、PCCのフランソワ・ピーアータイ総幹事は、5月にジャカルタで開かれたアジアキリスト教協議会(CCA)第14回総会で本紙に対し、気候変動問題への取り組みを世界の教会に求めたが、反応は少なかったと語り、「分かっていたことではあるが」と付け加えていた。
PCCとWCCは2004年、南太平洋のキリバス共和国で「オシン・タアイ宣言 気候変動に関する太平洋教会宣言 気候変動に関する太平洋教会会議からの声明と勧告」(日本語全訳)を採択している。