英国の国際的なキリスト教援助団体であるクリスチャンエイドは10月31日、報告書「預言者たちの詩 気候変動に関する地球規模の神学」を同団体のウェブサイトで発表した。「気候変動との闘いをどのように始めるかという問題は、単なる経済や政治だけの問題ではなく、道義的な問題にもますますなりつつあり、クリスチャンエイドから出た新しい報告書は聖書の預言者たちから霊感を得ている」と同団体は言う。
この報告書は、気候変動が非常に大きな影響を及ぼしている南半球の神学者たちの考え方を反映している。報告書では、何人かの聖書の預言者たちが、その時代の反対論と対決したそのあり方は、道義や動機を失った世界に希望をもたらすと述べている。
この報告書はまた、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が出した地球温暖化の影響に関する最新の統合報告書と時を同じくして出された。IPCCの統合報告書は、気候変動に対する効果的な行動のための時間がどんどんなくなりつつあると警告している。この報告書は11月2日に出されたが、それは昨年フィリピンの各地を破壊した台風ハイヤン(30号)の1周年の6日前であった。
この報告書の執筆者であるスーザン・ダーバー牧師・博士は、「私たちはみな助けてくれる人たちを必要としています。私たちが背を向けるようにと誘惑されかねない真実を見るために、私たちがほとんど耐えきれないことに目を向けるために、そして真の希望の源を見つけるために。私たちは自らのためにこれができる人たちを『預言者たち』としばしば呼んできました。彼らはその真実を見分けてそれに基づく行動をするのを助けてくれるのです」
「預言者たちは、とりわけもし物事が変われば失うものを多く持つ人たちにとっては、不評な時もあります。けれども彼らは一貫して、しかも恐れることなく、声を大にして語るのです。時に人は、彼らを狂っていると思うこともあります。時に人は、まるで無邪気なように気ままなこともあります。これはみな聖書の預言者たちに起こったことであり、それは今日の世界で真実を語る人たちに今もなお起こっているのです」と、同博士は述べている。
「預言者たちの声は、聖書からのものであれ、気候科学からのものであれ、今日貧困のうちに生きている人たちからのものであれ、力強い詩を歌っています。私たちは挑戦を投げ掛けてくるそれらの声を、そして悔い改めと変革の呼び声を聞く必要があるのです。いま苦しんでいる人たちのために、そして未来の世代のために」と、同博士はさらに記している。
しかし、私たちは解き放たれ回復した世界を想像することも必要であり、それは正義と希望の印を持ち、新しい基礎の上に築かれたものである。なぜならそのような展望は私たちの恐れを克服し、変革をするための強さを私たちに与えてくれるからである、とクリスチャンエイドは説明している。
「私たちの身近で迫りくる自らの利益に反する声に耳を傾けるには、勇気が必要ですが、もし私たちが『悔い改めなさい!』という挑戦に直面して心を閉ざしてしまえば、私たちは新しくされた地球のための希望という賜物を受け取る可能性をも閉ざしてしまうことになるのです。私たちが何よりもまして必要としているのはこの賜物であり、それは、謙虚さのうちに、この世界に対して、信仰がもたらしうる賜物なのです。預言者たちは、『こんなふうである必要はない!』ということを明らかにできる人たちなのです」と、同博士は言う。
クリスチャンエイドによると、10月18日から19日までの週末にわたって、英国中の数百の教会が祈りと行動の週末に参加し、英国の下院議員たちに気候変動と闘うよう強く求めるとともに、世界中の兄弟姉妹たちのために祈ったという。
世界中のクリスチャンたちが、気候変動によって提起されている道義的な問題をますます理解し始めるにつれて、クリスチャンエイドは正義と希望に満ちた気候変動の神学を形成する上でこの報告書が役立つ道具となることを願うとしている。